業績回復のために何をしたらいいか、竹内社長は入社したての新鮮な頭で考えました。自分たちの会社の持っている強みは何か。何を有効活用すれば他社の突っ張り棒と差別化できるのか。また、どの市場に出ていけば価格競争に陥らないで済むのか、といった点も考えました。
幸いなことに、価格競争に疲弊した大手企業は、徐々に突っ張り棒市場から撤退し始めていました。残存者利益は確保できるかもしれない。急がれるのは、価格競争のない新しいマーケット探しでした。
その時、大きなヒントになったのが、自らの新婚時代の家探しの経験でした。予算の問題もあって新築が望めない身としては、中古物件でいかに快適に住むかが、切実な課題です。気に入ったインテリアショップやデパートで小物類を買い足して、居住空間を自分好みに変えていきました。
そしてリフォームの過程で、次のように考えました。
「限られた空間の中でいかに快適に過ごすかは、どんどん家を大きくしていくことができない以上、誰もが直面する課題。自分たちの会社でもその解決のお手伝いができないだろうか」
新しいライフスタイルを提案する突っ張り棒
今までの突っ張り棒作りの経験を生かし、それをもっとおしゃれな家具として提供できないか、と思ったのです。
しかし、当時の会社は、競合他社との競争の中で「耐荷重」といった機能性を重視しており、新社長の「新しいライフスタイルを提案する突っ張り棒を!」といった主張には戸惑うばかり。現場から竹内社長には「具体的な形を示してほしい」との声もありました。
孤軍奮闘している竹内社長の頑張りを見て、応援してくれる人もいました。会社に出入りしている人材派遣会社の方です。竹内社長が抱いているイメージを形にしてくれる優秀なプロダクトデザイナーを紹介してくれたのです。
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