35歳女性社長が変えた「突っ張り棒」の常識 平安伸銅工業は、新需要をどう開拓したのか

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キッチンにもラック付き突っ張り棒を活用(写真:平安伸銅工業)

まず玄関では、先程の「ドローアライン」の飾り棚セットがスタイリッシュにお出迎えです。部屋に入るとまず目につくのは、カフェの飾り棚のような表紙を前にした本棚。普通の本棚に、木の質感に合わせた突っ張り棒を配置しています。

そしてクローゼットの中は、棚板やカゴがついた突っ張り棒でスッキリと収納。ついゴチャゴチャするキッチンも、ラック付き突っ張り棒で食器や調味料などを整然と並べています。洗面所も、洗面台下に突っ張り棒と100円ショップのカゴで収納スペースを確保。わずかなスペースを有効活用しています。

100円ショップの製品も活用

目に見えるところは、自社の「ラブリコ」や「ドローアライン」が使われていますが、そうでないすき間スペースや引き出しの中は100円ショップの製品を活用。こうしたあたりの自在さも、「突っ張り棒博士」の面目躍如といったところでしょう。

バネタイプ突っ張り棒(写真:平安伸銅工業)

平安伸銅工業の最新カタログを見ると、後半に「Weekend Workshop」というブランドが紹介されています。自らのDIYスクール体験を生かし、大工仕事に慣れない女性方でも週末気軽にDIYを楽しめるようにと考え出されたブランドです。

社会が成熟し、暮らしも豊かになりました。しかし住環境は決して改善されておらず、手に入れられる環境、スペースには限りがあるのが現実です。その中で竹内社長は、単なる道具の提供だけでなく暮らし方のノウハウまで提供する、つまりハードとソフトを融合させ、毎日の暮らしを豊かにしていけるよう提案し続けているのです。

最後に、竹内社長の社名への思いを聞かせてもらいました。

「祖父が創業者で、戦後は銅を溶かしていろいろなものを作っていました。今はもう銅製品はありませんが、社名と共に起業家精神を祖父から引き継いでいると思っています」

横文字の製品ラインナップ、インスタグラムやフェイスブックでの製品活用例の紹介など、まさに時代の最先端を行きながら、65年の会社の歴史もしっかりと見据えています。その新製品が、時代に迎合した浮ついたものでなくどっしりした風格を感じさせるのも、平安伸銅工業の長い歴史と熟練の技の賜物だと思いました。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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