失敗することで、決断の精度は上がる
少し俯瞰的に、ビジネス全体も見てみよう。
ユニクロには、目標をまず公開宣言したら、考えすぎずに、まず決めて、動いて、次の改善につなげるという、超速の決断PDCA文化が上から下までしみ付いている。
ユニクロの歴史をひもとくと、決断して、失敗して、修正して、の繰り返しだ。個店単位のスクラップ&ビルドは数知れず、野菜事業撤退、スポーツウエアのスポクロやファミリーカジュアルのファミクロも撤退。イギリス・中国などの海外進出も、当初は失敗の連続だった。
たとえば、野菜事業はアパレル以上に生産から在庫・出荷管理が困難なため撤退。スポクロやファミクロは業態が細分化しすぎて失敗。海外進出では、中国では現地の所得に合わせて「現地版・低価格ユニクロ」にしてしまったため、当初は市場に見放された。これらの失敗が今のユニクロを作っている。メイン分野でしっかり腰を据え、海外でも日本品質・価格をベースとするなど、過去の失敗を、次の事業展開の決断に生かしているのは間違いない。
それでもユニクロがたたかれる理由
実は、世の中には、ユニクロよりも過酷な労働を強いられる企業も多い。ちなみに筆者も長く在籍した戦略コンサル業界は、環境的には最悪の部類だろうか。ものすごいスピードで考えることを求められ続け、徹夜どころか「2徹」もザラだ。「Up or OUT」で昇進できない人は辞めるのは当然。付加価値が低いと判断されればクビである。5年もすれば、7~8割は入れ替わっている。この回転率は、ユニクロ以上だ。
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