店長になると、なおさらだ。ユニクロでは、店長のすべてが店に表われるという方針の下、「店が主役、店長が主役」という言葉を掲げる。聞こえはいい一方で、数字、人材管理、顧客からのクレーム……よくも悪くも、ほとんどすべてが店長の責任になる。
一方で、商品や価格は本部の指示に従うなど、多くの制約条件もある中で、自分自身で考えて動くことが求められる。しかしこれまでは、入社半年程度ですぐに店長になることを求められ、心身ともにキャパを超えてしまうケースも少なくなかったという。
「このスピード感、ガツガツ感についていけなくなってしまうときに、辞めていくのだと思います」と、夏樹は語る。
ユニクロは、「決断筋トレーニングマシーン」?
ただし、このスピード感には、もちろんメリットも大きい。現場レベルでは、たとえば、商品の陳列を自分で考え、修正すると、すぐに顧客の反応があるので、とてもやりがいがあるという声も多い。「入口前のマネキンのシャツの色を緑からピンクに変えるだけで、買う年齢層が変わったりするんです」と、日々の気づきをうれしそうに語る。
店舗スタッフのほとんどを占めるアルバイト・パートの方々への接し方も自ら考え、自ら動く。「最初は家から近いという理由で応募してきただけで、寝過ごして遅刻も多かったアルバイトスタッフが、自分がかかわったことで、自発的に動くようになる。そうした他人の成長にかかわれるのはうれしい」と、ほかのユニクロ社員も語るのだ。
つねにチャレンジが求められる中で、自ら考え、決めて、行動するため、自分の成長も早い。決断力とは「日常的に決断をする中で高まっていく」ため、ユニクロで働くとは、一種の「決断筋トレーニングマシーン」の中にいるようなものだ。結果として、一般企業では考えられないような「超速スピード」で、海外や新事業の責任者が誕生しているのも納得できる。
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