それなのに、なぜユニクロは、たたかれるのか。
もちろん、厳しい環境に本当に合意したうえで入社しているかどうかという、「ミスマッチ」は小さくない。新卒採用のとき、実態以上に「お化粧」をした結果、誤解をしたまま入社してしまう学生は少なくなかった(実際、今のユニクロ新卒ページの質問のいちばん上には『入社前後のギャップは?』が挙がっている)。
さらに、ナマナマしい話をすれば、労働対価、要は給料だ。たとえば、ユニクロで心身ともにハードな環境で働く自分の給料が、他社で比較的ゆったりと働いている他の大企業の友人と、それほど差があるわけでもないケースが少なくなく、徐々に疑問が湧いてくるという。
加えて、権限の問題もある。「名ばかり管理職」という言葉があるが、本部の指示と現場の板挟みになるものの、自分に必ずしも決定権がない。
「みんな服が好きだったり、ユニクロの思いに共感して入社してきます。でも上からの効率・スピードの指示と、お客様満足との間に挟まれて疲れてしまう人も少なくない」
世界一を目指し、ここまで大きな会社になったがゆえに、そうした不満が大きくなると、世間をにぎわすには十分なボリュームになってしまう。
ユニクロから学ぶべき決断力とは
さて、冒頭に登場した夏樹は、今もユニクロで働いている。一方、夏樹の彼は元ユニクロの同僚だが、「決めて、行動して、改善して」を繰り返すうちに、思い切って退社。今は起業している。
「ユニクロ卒業生は、営業職などに就く人が多く、起業する人はそんなに多くないかもしれない。でも、スピードが早い会社の中で、自分で考えて決めて動くという経験は貴重な財産になる。あとで、どんな仕事に転職しても役立つんじゃないかな」と語る。
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