では企業はどのようにして会う人を決めているのでしょうか。IT業界のA社は、採用予定数が、数百人程度に対して、毎年1万件を超えるプレエントリーが寄せられます。できるだけ多くの人に会うことを大事にしており、プレエントリー者全員に適性検査受検を案内し、その受検結果を見た上で3000〜4000人の学生と、グループディスカッションという形で直接の接点を持つことにしています。
A社は能力検査を、働く上で必要となる基礎的な能力を測るものととらえています。そのためA社独自の基準を設け、それに達しているかどうか確認をしています。
「商社っぽい答えをした人が通る」はない
それと同時に性格検査の結果を用いて、自社への適応のしやすさや、人をまとめる力、思考力など、各職種に必要な力をどのようなバランスで持っている人なのか、また個々の能力においても、例えば行動の量や質に特徴がある人など、細かくタイプ分けをしています。
すべての力をバランス良く持っている必要はなく、「この人は思考力に強みを持っているタイプ」「この人は行動力に強みを持っているタイプ」などと応募者の一人ひとりの特徴をとらえ細かく確認しています。これらの情報は、選考活動場面においても次の選考に進む人を判断する基準にも使っているだけでなく、会った人をより深く理解するために使用されています。
A社の強みは多様性にあることから、応募者の個性や特徴を確認して判断基準にしています。職種や職場によって必要とされる力は違います。どんな強みを持つ人をどのくらい採用するか見通しを立て、次の選考に進んでもらう人や内々定を出す人を決定しているのです。
A社だけでなく、多くの企業で、画一性ではなく多様性を重視し、さまざまな個性を持った人材をバランスよく採用することを意識しています。つまりそれは、「商社っぽい答えをした人が通る」、「銀行っぽい答えをした人がウケる」、「その会社に合うような答えをした人が有利」というわけではないということです。新しい価値を生み出すことが求められている今、相手を攻略しようというような考え方が通用するほど単純な世の中ではないといってもよいでしょう。
また、求める人材として同じキーワードを使っていても、企業によってその意味は異なります。
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