37歳、好きな「模型作り」で生きる男の稼ぎ方 中学生から始めた趣味が仕事へと繋がった

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作り方もわからない。ああでもないこうでもないと工夫しながら、実に3カ月かけて1つのリンゴを作った。

中学時代のリンゴの模型(写真:@1994 Shinzen Takeuchi)

学年の最終日に完成したので、学校に持っていって先生に見せた。先生には

「ええ出来やんか。でもこのタイミングで持ってきても誰にも見せられんから残念だな」

と言われた。

「でも誰かに見せるために作ったわけじゃなかったから全然残念じゃなかったんですよね。褒められるためじゃなく、純粋に作品を作ったというのはとても良い経験でした。

リンゴ製作では、じっくり見て作るというのができました。今見ると出来の悪さは目につきますけど、腹は立たない作品ですね」

竹内さんは、出来が悪いというが、実際に作品を見るとすごい完成度だった。作り物だと知らずに見たら、まず本物だと思うだろう。この作品を中学1年生が作ったとはにわかには信じられなかった。

「ヤツラは本当に生きていた動物なんだ」

その頃、『ジュラシックパーク』(スティーブン・スピルバーグ監督)を見た。

ティラノサウルスがかっこよかった。ヤツラは本当に生きていた動物なんだ、と思うと怪獣よりも身近に感じた。

そして恐竜も製作するようになった。

毎年夏には家族旅行に出掛けていたのだが、中2の夏は竹内さんがお願いして東京に行くことになった。

竹内さんの目的は「ワンダーフェスティバル」(模型メーカー海洋堂が主催するガレージキットのイベント)だった。その日だけ家族とは別行動で晴海の会場に行ったのだが、あいにくの大雨でひどい風邪をひいてしまった。

「そんな思いをしたけど翌年も行きたかったんですよね。酷い目に遭わないためにはどうしたらいいか考えて、だったら自分もワンフェスに出店すればいいんだと思いつきました」

ただしワンダーフェスティバルに18歳未満は参加登録できない。仕方なく父親の名前を勝手に使って応募した。

申し込みは完了したが、最後には父親には言わなければならない。おそるおそる伝えると、当然父親は怒った。

「お前の模型なんか1個も売れるか!!」

と怒鳴られた。

竹内さんは泣きながら「でも行きたい」と言った。父親はしぶしぶ了承してくれた。

それまでためてきた貯金10万円をフェスの準備につぎ込んだ。

20センチのゴジラと10センチ強のティラノサウルスの2種類を10個ずつ作った。全部売れたら、30万円になる皮算用だった。

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