37歳、好きな「模型作り」で生きる男の稼ぎ方

中学生から始めた趣味が仕事へと繋がった

そんな中でも、いちばんに見入っていたのは、ワシミミズクだった。

ワシミミズクの細部を見つめる竹内しんぜんさん(筆者撮影)

「今作っているんですよワシミミズク。いやあ、かっこいいですよね!!」

飼育員さんと話をしながら、羽根の根元や足など、細部をじっと見つめている。そして触る。スマートフォンで写真も撮る。

きっと、同じ動物を見ていても、竹内さんの脳には僕とは違う物が写っているんだろうな、と思った。

動物をさんざん愛でた後、竹内さんの工房へ向かった。

再現されつつあるワシミミズク(写真:@2017 Shinzen Takeuchi)

工房は新築された実家の2階にあった。機能的な作業台の上にはさまざまな道具が並んでいる。机の中心には、作業中のワシミミズクの粘土作品が置いてあった。片手にポンっと載るくらいのサイズだが、非常に細かく作られている。

先ほど見てきたワシミミズクが再現されつつあって、思わず感嘆の声を上げてしまった。落ち着いたところで、竹内さんになぜ立体造形をはじめたのか伺った。

僕の人生の中でいちばん暗い時期

「3歳の頃に通っていた保育所が移ったんですね。その新しい保育所があまり合わなくて、連れて行かれるたびに泣いていたそうです」

それでも共働きをしている両親としては、保育所に行ってもらわないと仕事に行けない。なんとか最後の1年くらいで克服して泣かなくなった。

小学校に入学した後もしばらくは普通に通っていたのだが、おそらく無理をしていたのだろう、糸が切れるように学校に行かなくなった。

「……と伝え聞いてます。正直あんまり覚えていないんです。幼い頃の記憶だからあいまいにしか覚えていない、というのもあると思うんですが、その頃が僕の人生の中でいちばん暗い時期だったので、脳が覚えておく必要がないって判断して忘れちゃったのかもしれません(笑)」

小学校は行ったり、行かなかったりだった。当時はみんなと違うことをしていることに罪悪感を覚えた。先生から「お前は義務教育違反をしてるんや」と注意されたり、授業の途中で1人帰っていると近所のおばさんに少し怒られたりした。

「『僕はやってはいかんことをやってるんや』と思うときがいちばんつらかったですね。中学生になってからは『義務教育とは、子どもが教育を受ける権利を大人が保証する義務があるという意味だ』と理解するようになって、めっちゃ気持ちが楽になりました。『僕はしたいことを学んでいいんや』って思いましたね」

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