就活生の多くは「会社の見方」を誤解している 知名度・待遇・・・先輩たちはここがズレていた

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・「中小企業でもやりたい仕事はできるが、福利厚生や残業時間などの面で大企業よりも劣っている、と感じることが多かった。この先ずっと働きたいからこそ、その2つは大事」(京都女子大学・文系)
・「なんだかんだ言っても、やっぱり大企業に行った方がいい、と思うようになった」(名古屋工業大学・理系)

​こうした判断もあっていいだろう。また「中小の方が学歴フィルターがあるように感じた」(ノートルダム清心女子大学・理系)と書いた学生がおり、地域に立地する中小企業は特定大学を優遇することもある。

学生は就活経験によって、大きく成長するが、まだ働いてはいない。だからまだ思い込みが残っている。「ブラック」や「残業」を嫌悪する学生は多いものの、「絶対悪」とする意見は少なく、必要性を徐々に理解していくようだ。

・「学生と同じくらい企業も必死に採用活動をしているのだと感じた。残業が少ない企業は給料が少ない、給料が多い企業は忙しいなど、大体の事情には裏がある。逆に裏を見せずにいい条件ばかり並べる企業はあやしい」(法政大学・文系)
・「どこもブラックだと思いました。残業のない会社なんてそうそうないし、つらくても自分が好きで頑張れる企業であればいいんだな、と気づきました」(宮城大学・理系)
・「残業ばっかり、やりたくないことを仕方なくやっているというような社会人像は、確実に変わった」(学習院女子大学・文系)

​ブラックや残業を「絶対悪」とする声は少ない​​​​​​​​

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2018年卒就活生のコメントを見ると、就活初期の学生は「B to B か B to C」、「大企業 か中小企業」という決めつけで志望企業を探していた。しかし、就活が進むにつれ、このような二項対立的な価値判断の不毛さに気づいていく。

「ブラック」や「残業」についても、「残業があるからブラック」「いやいや残業をさせられている」という、単純な判断が間違いであることを理解していく。もちろん、不誠実な採用活動をする企業もあり、建前と乖離した企業の振る舞いを糾弾する学生はかなりいる。

・「嘘ばかりつく。信用できない。金融機関であっても、ルールを守らない」(國學院大学・文系)
・「企業理念を真に受けないことが大切である」(早稲田大学・文系)
・「華やかな舞台の裏にはかなりドロドロとした裏側が存在し、大人たちは仮面を被って生きているということ」(関西大学・文系)
・「建前と本音を使い分けていること、企業のいいところしか見せてくれない」(大阪大学・文系)

​このように、企業の採用活動を批判することもできるだろうが、別の判断をする学生も多い。就活初期の判断軸の前提には、この世には「いい企業」というものが存在していた。その「いい企業」を見つけて内定を取れば、いい就職ができるという考えがある。

ところが、次第に誰にとっても「いい企業」というものが無いことにも、また気づく。なぜなら相性というものがあるからだ。その相性を知るための企業探しが就活である。下記のような意見もある。

・「残業が多くても生き生きと働いている会社はある。大切なのは、今どれだけ完成しているかよりも、これから柔軟に変化していける体質かどうか、だと感じる」(大阪府立大学・文系)
・「イメージだけで好き嫌いを判断してはいけない。インターンなどで直接話を聴いて仕事内容を聞かなければ、よさ悪さ、向き不向きはわからない」(福井県立大学・文系)
・「福利厚生も大事だが、人や会社の雰囲気が大事。自分と合っているかは、かなり重要だと気づいた」(北九州市立大学・文系)
・「ブランドや知名度、イメージにとらわれずに、自分に合う企業を探して選ぶことが大事だと思うようになった」(早稲田大学・文系)

​ブランドや規模だけで思考停止していては、視野を狭くする。ここに挙げた先輩たちの声を参考に、就活の軸を「自分に合うかどうか」にも置き、ぜひとも成功に結びつけてほしい。​

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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