管理職と現場の「二刀流」の厳しすぎる実態 「代打、俺」が多くの人を疲弊させている

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悩ましいのはプレイングマネジャーとしての現場仕事の業務負担が、代打くらいでなく重要な役割を担う四番バッター(ないしはエースクラスの投手)になっているケースが増えてきているということです。

支店長が重要な取引先を担当

取材した金融機関では、支店長が重要な取引先を担当しながら、支店のマネジメントをするようになっていました。支店に重要な取引先を任せることができる中堅行員がいない……と過去の支店長が認識して「ならば、自分が直接に担当しよう」と決めた支店長がいたようです。そのやり方でそれなりに成果が出たようなので、銀行として支店長に重要な取引先を担当させる慣習が出来上がっていったようです。

ちなみに10年前であれば支店長は取引先の担当など持つことはなく、支店のマネジメントに専念するのが当たり前だったといいます。重要な取引先を担当する適任者がいない状態で、支店長が緊急避難的に取引先をフォローするのは致し方ないかもしれませんが、プレイングマネジャーを当たり前、あるいは推奨している職場の雰囲気が醸成されてしまっているのが実情。なし崩し的に仕方なくやっているわけで、その体制は問題ではないでしょうか?

会社は管理職に部下の育成を期待します。その期待は徐々に高くなっています。ところが管理職の働く環境はそれが十分にはできない状況になっており、さらに兼務による激務がエスカレートしていく可能性もある状態ではないでしょうか。

だとすれば、いったいどうしたらいいのか? 管理職から現場の仕事を取り上げるのが本来的にはいいのですが、会社や職場の生産性を考えると現実的ではない職場が大半でしょう。せめて、時間の足りない管理職のマネジメントを支援するツールなど、負担軽減をする方法を検討してみてはどうでしょうか。最近はHR(ヒューマン・リソース)テックとよばれるITを活用したマネジメントツールが数多く登場しています。

例えば、上司と部下で目標と習慣をリスト化し、日々報告に活用するJTBグループが提供するサービスのHabi*do。日々の業務報告をスマホなど活用して簡単にできることに加えて「頑張っていますね」と励ましのコメントを提供したりしてやる気を高めることも可能。あるいは東急不動産が提供するインセンティブ・プラス。社員とのコミュニケーションの中身を上司が勘案して「ポイント」を付与できるサービス。行動に対する評価の機会を増やし、対象者の行動を変容させ、ひいては法人の業績アップへとつなげる新しい報奨サービスです。

流行りものとスルーしている場合ではない職場がたくさんあります。現場社員たちの置かれた現状を考え、管理職が部下の育成に役立つツールを探してみてはいかがでしょうか。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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