哲学とビジネスに共通する問題とは?
近年注目されるソーシャルメディアや時事問題に始まり、経営学の基本的な考え方まで、1年にわたって、この連載では経営学の話題を提供してきた。
その中に貫徹する主張はあっただろうか。思い返せば、それはつまるところ「当たり前や常識を疑う術を身に付けよう」ということだったかもしれない。
最後に改めて提示したいのは、「本質直観」というアイデア、このところまとめたいと思っていたテーマだ。
きっかけは、たまたま読んだ『はじめての哲学史』(竹田青嗣/西研・編)という教科書だった。およそ経営学とは関係なさそうなタイトルだが、面白い一節があった。「哲学というものは、直観補強型思考ではなく、直観検証型思考だ」というくだりである。
いわく、哲学では、主観と客観の一致をどう実現するのかが議論されてきた。自分の独断的な思いである主観を、どうすれば客観的で正しいといえるのかと。映画『マトリックス』ではないが、今自分が見ている世界が幻想や作り物ではないと確認することは、とても難しい。
これは、ビジネスにも共通する問題だと思う。たとえばあるとき、どうも機能性飲料に新しい需要があるらしいと気づく。さて、どのようにすれば、自分のこの思いが正しいかどうかを確認できるのだろうか。
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