「最近は、裏面だけではなく宛先もプリンタで印刷する人が増えました。このまま出したのでは、BCCのメールと同様に、すべての人に対して同じものを送ることになり、年賀状の位置づけから考えれば望ましくありません。相手を思い浮かべながら、ひと言書き添えることが大切になるのです」(伊東氏)
分かっているが、なかなかむずかしいのは、その年賀状に添える一言だろう。
「お客様が購入した洋服など、パーソナルな内容の一言にする工夫をしています」(アパレル勤務・29歳)、「趣味が野球なので、プライベートはもちろん、会社内の人にも、すべて野球に絡めた一言を添えています。野球にあまり興味がない人には、少しでも興味をもってもらえるような一言に知恵を絞ります」(IT・25歳)。
こういった意見がある一方で、「一言を思いつかないので、全部、『今年もよろしく』になってしまいました」(旅行・24歳)という人もいる。大半の人は、「今年もよろしく」タイプではないだろうか。
「去年」は不可、句読点も入れてはいけない
「一般に良いとされているのは、ポジティブなメッセージ。『今年の目標』や『感謝の言葉』を添えるのが、望ましいでしょう」(伊東氏)
たとえば、新入社員であれば、「2年目を迎えて、仕事の厳しさとともに、面白さを感じ始めています」といった一言が優等生的に映る。評価ポイントは、「厳しさ」と「面白さ」の両方について触れていること。単に「仕事が面白くなった」といえば軽い感じがするが、「厳しさ」が加わることで「仕事の面白さ」に重みが出てくる。
このように、一言でいうべき基本を押さえておけば、「今年もよろしく」から脱却できるはずだ。
「年賀状を書く時、忌み言葉を使っていないか確認してください。受け取る相手によっては、快く思わない方もいらしゃいます」(伊東氏)
忌み言葉とは、縁起が悪い言葉。「去る」「落ちる」「終わる」「切る」「絶える」「衰える」「失う」など、病気や死や別離などを連想させる言葉が、それにあたる。年賀状で、もっとも使いがちなのは「去年」。「去」という字が入っているので、年賀状で使うのはよくない。だから、一般に「昨年」、もしくは「旧年」が使われるわけだ。
さらに、「年賀状に句読点を入れないということも覚えておいてほしいですね」と、伊東氏。
そもそも日本では、句読点を入れる習慣がなかったので、年賀状はそれを踏襲している。加えて、年の初めは新たな展開、いいかえれば新しい可能性が広がることが期待できる。だから、限界を設けるような区切り(=句読点)はつけないというわけだ。
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