「15秒話法」で"伝える力"は劇的に上げられる 「簡潔な話し方」が人を動かす

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ここで、「10~15秒のメッセージの塊」を体感しておきましょう。

実際に携帯電話のストップウォッチ機能などを使って、10秒でどのくらいの長さの文章を話すことができるのか試してみてください。

前段落の「実際に携帯電話の……」で始まる文章の文字数は、約60字です。日本語は1分間に350文字話すのが標準だとすれば、10秒間では60字弱になります。つまり、この1文を10秒程度で話すわけです。

早口になりがちな人への処方箋

プレゼンの研修をしていると、必ずと言ってよいほどクラスに1人は早口の人がいます。

早口の人は、頭の回転が速いために、話していてもいろいろな言葉が次から次へと頭に浮かんできます。その浮かんだことをどんどん伝えようとすると、ときとして舌が追い付かないことがあり、「滑舌が悪い」という弱点を同時に持っていることが多く見られます。

こうした人には、「緩急をつける」ことを徹底的に練習してもらいます。

早口の人は、まず、自分が早口であるということをよく認識すべきです。認識していても直らない人もいますが、そんな人には、次のような方法をお勧めしています。

思い付いたことをすぐに話すのではなく、頭の中にホワイト・ボードをイメージし、そこにこれから話すことをいったん書いて、それを読み上げるようにして話してください。

まずはこの練習によってスピード・コントロールを意識し、全体的にスピードを落とします。

次に、頭に書いた文章のうち、ポイントとなるキーワードの部分は「ゆっくり、はっきり」話し、それ以外は普通のスピードで話すことで、「緩急」のアクセントを付けます。

さらに練習を積んだら、文章の中の言葉の塊を「重要」「普通」「その他」に分けて、「重要」な言葉は「ゆっくり、はっきり」、「普通」は普通のスピードで、あまり強調する必要のない「その他」の言葉については、少し早めに話すという練習をします。このとき、少し早めに話すからといって、滑舌を犠牲にしてはいけません。

早口の人が「緩急」をマスターできたら、次は「強弱」に取り組んでもらいます。大事なメッセージの部分を「ゆっくり、はっきり」話せるようになったら、今度はその言葉を「ゆっくり、はっきり」に加えて「強く」話してもらうのです。

この「ホワイト・ボード作戦」は、上手に「間」を取るためにも有効です。「間」には、「1.呼吸を整えられる」「2.『あ~』『え~』などの言葉癖を封じられる」「3.相手に考える時間を与えられる」という3つの効用があります。

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