日本の兼業主婦は自前主義にこだわりすぎだ 「ワークライフアンバランスでいいじゃない」
日本がこのままガラパゴス的な年功序列社会を維持し続ける限り、本当に優秀な人材は今後ますます海外に流出していくでしょうね。いかに優秀な人材を獲得するかは、日本企業の生命線です。そういった意味でも、ちゃんと実力主義を導入している企業ほど、これから世界的にも生き残っていくはず。「働き方改革」において、まずなすべきは優れたアウトプットを残した者がちゃんと評価される、実力主義の徹底だと思います。
仕事も家庭も、「A+」の成績じゃなくていい
そして「ワークライフバランス」という言葉だけど、結論から言って私はバランスなんてとれないと思っています。むしろ「ワークライフアンバランス」のほうが自然じゃないかな。自分のこれまでを振り返ってみても、まったくバランスなんてとれていない(笑)。合格点ギリギリというのが正直なところです。
人生は1回、1日は24時間だけ。限られたリソースの中で、仕事の充実感も子どもとの時間も両方完璧にこなそうなんて明らかにできないんですよ。だから重要なのは、「A+(エープラス)でなくてもOK」という心構え。「とりあえずB-(ビーマイナス)でもいいんだ」って思ったら、楽になる。ちょっとアンバランスでも許せる気持ちのゆとりが重要なんです。
これは、日本人の独自の気質が起因している部分もあると思います。例えば、アメリカなんて法的に産休もない国。公的な保育園だってありません。なのに、北欧と比べればまだまだでも、日本よりははるかに女性の社会進出が進んでいる。なぜ日本より制度的に整っていないにもかかわらず、女性が活躍できているのかと言うと、一番の理由はアウトソース文化があるからです。
日本のワーキングマザーの多くは、しっかり仕事をして、同じくらいしっかり家事も育児もやらなければいけないと、宿命みたいに思っている。その考えが、自分たちの首を絞めているんですよね。一方、アメリカの働く母親は、アウトソースすることへの罪悪感が日本人に比べて薄いんです。覚えておくべきなのは、「苦労すること」は必ずしも重要ではないということ。
私は掃除も洗濯も掃除もほとんど家政婦さんにお願いしています。このやり方について批判されたこともあるけれど、1日は24時間しかないんだから、その中で何にどれだけ時間を使うかプライオリティをつけていくことは、とても重要なこと。
洗濯や料理の時間があるなら、それよりも今日学校でどんなことがあったか子どもの話を聞いてあげたいし、宿題を見てあげたいし、絵本の読み聞かせをしてあげたい。そもそも私は料理が上手じゃありません(笑)。
私より百倍料理の上手な方がいらっしゃるんだから、無理して私のマズいご飯を食べさせるより、その方の美味しくて栄養バランスのとれたご飯を食べさせたほうが子どもにとっても絶対いい。こう言うと、どこかのお節介な人が「お袋の味を知らずに育つなんて可哀相」なんて口を出してくるけれど、そんな小言は無視してオッケー。気にせず、あなたの時間をあなたの使いたいように使いましょう。
結局、バランスを求めるとゆきづまってしまう。アンバランスさこそが自分の個性だと思って、自分を許してあげなさい。お行儀よく、正しく生きる必要なんていい。人生、「ワークライフアンバランス」でいきましょうよ。
(取材・文/横川良明 撮影/栗原千明(編集部))