日本の兼業主婦は自前主義にこだわりすぎだ 「ワークライフアンバランスでいいじゃない」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

でも、それって本末転倒もいいところ。だって、どれだけ長時間労働をやめたところで、それで労働生産性が上がって、企業も私たちも潤うかと言ったら、そこはクエスチョンマークでしょう? だから「働き方改革」だなんだと国が旗を振っても、ちっとも幸せになれない。

まず解消すべきは、時間の問題ではなく、生産性の問題なんです。そこがテコ入れされない限り、本当の意味での「働き方改革」はできません。

成果を測る物差しが曖昧

村上 由美子(むらかみ ゆみこ)/経済協力開発機構(OECD)東京センター長。上智大学外国語学部スタンフォード大学大学院で国際関係学修士課程を修了した後、国際連合に就職。バルバドス、ニューヨーク、カンボジアで勤務した後ハーバード大学大学院でMBAを取得。その後、ゴールドマン・サックス証券に入社し、ニューヨーク、ロンドン、東京で、マネージング・ディレクターとして活躍。2013年9月から現職

日本の労働市場で雇用の流動性がないことが労働生産性が向上しにくい一因にもなっています。いまだもって年功序列がこれだけこびりついている社会って、国際的にも極めてレア。年齢や勤続年数にとらわれず、成果に基づいた実力主義が定着しないと、優秀な人材の正当な市場価値が測れず、伸びしろのある人たちの潜在能力を社会が無駄にしてしまう。

ではどうして日本で成果主義が広まらないのか。1つの理由は成果を公平に測るシステムが脆弱だからではないでしょうか。労働時間や年齢、勤続年数、あるいは成果……。

社員の評価を定める物差しはさまざまです。きちんとその人の実力を潜在成長性も踏まえ測ろうとすると、管理する側にも相応の見る目が必要になる。

それよりは、労働時間だ年次だって目に見えるわかりやすいものでシステマチックに測定したほうがよっぽど楽。それだと「見る目」も必要ありませんから。結局、そういう管理側の怠慢と実力不足が、旧態依然とした年功序列社会からの脱却を阻んでいるわけです。

もちろん欧米的な実力主義が、日本人の文化や気質に100%馴染むものでないのも確か。でもどこかでシフトチェンジしなければ、ますます国際社会から取り残されていくことになります。

私が働いていたゴールドマン・サックスは、それこそ「ワークライフバランス」なんて言葉とは無縁。「24時間働けますか?」という世界で生きるハードワーカーがたくさんいました。でも、日本と違うのは、どれだけ長く働いても、それ自体がプラスの評価になることは一切ない。あくまで、評価の対象は労働時間ではなく、アウトプット。大きなアウトプットを出した者が、それにふさわしい報酬とポストを手に入れられる。そういうシンプルでフェアな社会でした。そこに年齢や性別なんて関係ない。だから優秀な若い人材が、どんどん集まってくるわけです。

次ページ「ワークライフアンバランス」のほうが自然
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事