売れないと嘆く人はお客の無意識を知らない 消費者の行動や心理の底にあるホンネ
生き方にも働き方にも、多様な価値観が認められる現代では、従来のマーケティングの限界が見えてきています。ダイレクトメールや電話営業など、かつて有効とされてきた手法が、望むような効果を得られないことが増えてきています。
消費者が何を求めているのかを知り、それを充足させなければビジネスは成り立ちません。そこに有用といわれるのが、「ニューロマーケティング」という比較的新しいマーケティング理論です。
「ニューロマーケティング」とは、脳科学の見地から、従来のマーケティングリサーチでは把握できなかった、消費者の心理や行動のベースにある“ホンネ”をとらえようという考え方です。
そこには「無意識」が大きくかかわってきます。
近年の脳科学、心理学、行動経済学の研究によると、人が何かを選び取るとき、意識はあくまで副次的な役割しか持たず、主体的に選択を行うのは無意識であることがわかってきました。
つまり、消費者に商品が購買されるとき、一般的な感覚としては、理性的な判断に基づいて消費者は意思決定を行っているように思えますが、9割以上の場合でそれは違い、実際には無意識により選び取られているのです。
わかっているようでわからない「無意識」とは?
「無意識」とは何でしょう。
私たちの誰もが言葉としては知っていますし、その意味についても何となく理解しています。しかし、説明しようとすると、「無意識とは、意識していない状態のことだ」などとあやふやです。
ここで、意識と無意識の違いを整理してみましょう。
2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学教授で経済学者のリチャード・セイラーと、ハーバード大学ロースクール教授のキャス・サンスティーンの共著によれば、無意識は「自動システム」、意識は「熟考システム」として表せます。
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