木本:保育所がタダになるんですか?
藤沢:通わせるためにはおカネはかかります。ただ、足りなかった保育所を確保することができます。認可保育所に入れる人は安く使えるんですが、そもそも数が足りなかったのです。
木本:足りないから認可外の高いところへ行かざるをえない。
藤沢:できれば、安い保育所に通わせたいですよね。保育所を提供すること以外にもいろんなことに使えますが、大きいのは待機児童です。ですから、こども保険の財源をそこに使えるのではないかということです。0.2%から上げていくことも可能です。ただ、480円はお昼ご飯代1回分くらいですが、それを負担に思う人も少なくないはずなので、それを上げるかは議論が必要です。
木本:まず0.2%からの議論なんですね。
藤沢:「0.1%から」という議論もありますが、3400億円でも待機児童解消には大きく寄与します。いずれにしてもこれで、まずは大きな待機児童の問題をきっちり解決しようということです。
子どもがいない家庭、子育てを終えた家庭にも負担が
木本:月に480円なら、そんなに負担ではないと思いますが……。
藤沢:そう思っていただければいいのですが、子どもがいない家庭、子育てが終わった家庭にも負担になるので、発想の転換が必要だと思っています。民間の保険という感覚だと、これから子どもを持つかもしれないから、払おうとなりますが、子育てが終わっている家庭では、「なんで今さら払わないといけないの」という思いになりかねないですから。
木本:どんな発想の転換が必要でしょう。
藤沢:子どもは社会を支えていく大切なもの。これまでの子育ては、「産んだ人の責任、家族の責任」が常識で、「なんで子どもを勝手に産んだのに、社会が支えなければならないのか」という意識があったと思うんです。それを転換して、子どもがこれからの社会をつくっていくのだから、子育てする人だけじゃなくてみんなで支えようよという発想に変えていかないと。
木本:みんなが親戚だという発想になればいいんですね。国民総親戚!
藤沢:お互い支え合う。だから小遣いをあげる。おじいさんおばあさんだったら、孫におもちゃをあげたりする感覚で払ってもらえるといいですね。
木本:僕は今40代半ばの年齢ですが、子どもの頃は長屋が多くて、隣の家だろうとみんな家族という意識でした。そんな感覚をもう一度持てるといいですよね。
藤沢:子どもを育てるのは大変です。「1人の子どもを育てるには1つの村が必要だ」ということわざがアフリカにあります。日本では子どもが生まれたら隣近所で支えるという長屋意識がなくなってしまいました。お母さん1人で育てなければならないような意識に、いつの間にかなってしまいました。
しかも最近は若い人の収入が年収で100万円下がってしまっています。だから、奥さんも働かないと暮らしていけません。でも子どもの面倒は見なければいけない、どうするの?というのが今の社会。もう一度、昔のように社会で支えるように戻る必要がある、という発想です。
木本:そうですよね。次回は、なぜ「こども保険」が必要なのかについて、詳しくうかがっていきます。
<中編に続く>
(構成:高杉公秀)
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