小泉進次郎氏が推進する「こども保険」の正体 日本は「社会で子どもを支える国」になれるか

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藤沢 烈(ふじさわ れつ)/1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業等に特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立し、情報分析や社会事業創造に取り組む傍ら、復興庁政策調査官も歴任。総務省地域力創造アドバイザー、釜石市地方創生アドバイザーも兼務。復興活動の中で小泉進次郎氏と出会い、小泉小委員会(2020年以降の経済財政構想小委員会)民間オブザーバーに就任(撮影:尾形文繁)

木本:そうですよね、それが少子化にもつながっていたりしますよね。

藤沢:日本は、世界と比べても高齢者には手厚く社会がサポートしていますが、子育て世代にはサポートがなかった。もちろん保育所などがありますから最近は頑張っているんですが、社会保険という大きく重い負担のものは、子育て世代には支給されずアンバランスなんです。

また、ご指摘のとおり少子化の原因の1つにもなっている。保険料は国民のほとんどの人が払っていますが、子育て世代はあまり受け取っていない。そのバランスを少し戻そうとして考えられたのがこども保険ということです。

木本:なるほど。「子育てに目に向けよう」というのが大まかな趣旨なんですね。

藤沢:子どもが生まれたときにおカネがかかって、成人になると稼ぐ側になって、年寄りになると社会に守ってもらうというサイクルです。人生の後半はしっかり守られているんですが、前半の負担のかかるところへのフォローが弱いということで考えられた仕組みです。

「こども保険」という言葉に違和感

木本:僕は「こども保険」という言葉にちょっと違和感を覚えたんです。保険という言葉には、何か起こったときの担保みたいなイメージがあります。ケガをした、交通事故を起こしたから保険というイメージが強い。だから、「子どもが生まれるのがよくないことなの」という、ややネガティブなニュアンスにならないかと心配になったんです。

藤沢:なるほど、木本さんのイメージは、普通の生命保険や自動車保険に引っ張られてしまっているかもしれません。こども保険は年金保険に近いものと思ってほしいですね。冒頭にも申し上げたように、社会全体で支えないといけない部分をカバーするのが社会保険なんです。

木本:もっと言葉をワイドにとらえないといけないんですね。そこはクリアになりました。単純にすごくいいことじゃないですか。制度ですから、国民のみんなにある種の負担がかかってくるでしょうが、僕らのやるべきことは。

藤沢:どんな負担になるかというと、一般に国民年金や、会社勤めの方は厚生年金を払っていますよね。それに0.2%を上乗せします。特に厚生年金部分には、会社にも同じ0.2%を負担してもらう。たとえば年収400万円の人が0.2%支払うとすると、月に480円。ワンコイン負担していただくことで、試算では6800億円が積み上がる。その予算があれば、ざっくりいうと待機児童問題が解決します。

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