「新CURE」でも、保険料に占める運営費の割合は不明です。それでも、手掛かりはあります。オリックス生命の決算資料を確認すると、保険料収入に占める事業費の割合は31%強です。貯蓄性商品の扱いが多い会社の事業費率は10%前後のこともありますが、オリックス生命は、医療保険のような掛け捨ての保険が売れ筋であるため、これくらいの数字になっていると思われます。
複数の保険数理の専門家によると、一般に「医療保険」の保険料には30%程度の経費が含まれているそうです。そこで、「新CURE」の契約で、加入者が負担するコストも30%くらいと見て計算すると、40歳女性が60歳までに支払う約94万円のうち28万円くらいが、保険会社の運営費に回ることになります。
手数料の比率が大きすぎる
保険専用ATMに94万円入金すると28万円の手数料が引かれるイメージです。20%であっても約19万円です。
老後のおカネの不安に着眼すると、頼みの綱のように見えなくもない「医療保険」が、おカネの流れだけに注目することで、多額のコストが看過できないシステムに感じられてきます。
加えて「不確実性」の問題もあります。現役世代が60代以降の安心を求めて、終身医療保険加入を検討する際には、50歳の人でも10年~40年くらい先の保障を買うことになります。
現時点で優れていると思われる保険の保障内容が、数十年先にも通用するだろうか?という視点を持ったほうがいいはずです。たとえば、入院日数が短期化すると、日額××円という保障の価値は相対的に下がります。貨幣価値の変動もあるかもしれません。
あくまで仮の話ですが、在宅医療が進化すると、入院保障中心の現行商品の価値は一気に陳腐化するのです。「契約内容が変わらないリスク」は、もっと語られていい気がします。
さらに、もともと保険の仕組みは、老後の医療や介護等の保障には不向きであることも忘れてはいけないでしょう。負担しやすい保険料で手厚い保障が可能になるのは、現役世代の急死のような発生頻度が低い事態だからです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら