「終身医療保険」で老後も安心といえるのか 定番の疑問・質問について考えてみた

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そんなわけで、筆者は「現役の間に保険料を払い込んで安心したい」という人たちには、立ち止まって考えてみることをおすすめしています。

一方で、老後に安価でそれなりに手厚い保障を提供できる商品の可能性についても、考えたりします。終身医療保険への加入に前のめりになっている人たちが不安視しているのは、短期ではなく長期の入院です。そうであれば、入院から100日間は給付金を支払わず、101日目から無制限に支払うような保険があるといいと思うのです。

現行商品では、楽天生命の「ロング」が同じようなコンセプトで設計されています。それは61日目から給付が始まる保険です。発生率が高い60日以内の入院を対象外にすることで、家計への影響が大きくなる可能性がある長期入院に、安く備えられるという考え方は正しいと思います。

ほかにも、長寿化を前提にして、たとえば80歳から保障が始まる保険などもあっていいかもしれません。保険料は60歳や70歳までに払い終わっていても、70代までの保障をしないのです。そうすることで、保険料が抑えられ、その後の保障を手厚いものにできるのではないでしょうか。

「老後は手厚い保障に守られたい」…けれども

80歳までに亡くなった人の保険料も「掛け捨て」にすると、ほかの加入者の保障に回すことができるはずです。実現すると「早死にすると損だ」という声も聞かれることになるでしょう。不確実性の問題も避けられません。

しかし、保険とはそういうものだ、という認識が大切なはずです。先に書いたとおり、老後に発生しがちな事態に備える際、使い勝手がいい手段ではないからです。

人は誰しも、老後は手厚い保障に守られたい、一生涯の安心が欲しい、といった思いを抱きがちだと思います。切実な願望と言ってもいいでしょう。切実だからこそ、判断に及ぼす影響について考えたほうがいいのだと思います。

最後に、筆者自身の判断についても付記しておきます。筆者は、終身医療保険への加入は考えていません。来年59歳になる自営業者で、退職金はなく公的年金額も会社員より低くなりますが、医療保険の利用にかかるコストを問題視して、思いとどまっています。おカネの心配をしながら、数十パーセントの手数料がかかると見られる仕組みに頼るのはどうだろう、ということなのです。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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