高齢者の「医療費負担」は来年度から重くなる 長生きが「コスト」になる時代がやってきた

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中高所得層の高齢者から、医療・介護の負担が重くなる時代が到来する(写真:Graphs / PIXTA)

高齢者の医療・介護の負担はどこまで重くなるのか――。

厚生労働省は2017年度から実施する、医療や介護の負担増について、その大枠を発表した。医療費の患者負担に上限を設ける「高額療養費制度」に対しては、一定の所得がある世帯の限度額を引き上げる。また、75歳以上が加入する、後期高齢者医療保険では保険料負担の「軽減特例」も見直す。一方、介護保険サービスの自己負担も、2018年度から増える予定。高齢者の生活はますますきつくなり、年金での老後資金のやり繰りがさらに厳しくなりそうだ。

なぜこのタイミングで医療保険制度改革が必要なのかといえば、急激な高齢化によって医療費などの社会保障費が増大し続け、日本の財政を圧迫しているからだ。2016年度当初予算では、社会保障費が約32兆円で3分の1を占め、1990年と比べると約3倍にも膨らんだ。社会保障費が毎年1兆円規模で増加している中、社会保険料収入は横ばいで推移しているため、その多くは税金と借金で賄われている。少子高齢化は今後も止まることはなく、財政は一層深刻化することが予測される。

医療費のピークは75~79歳で迎える

2025年には、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるという、”2025年問題”がささやかれている。高齢になれば当然、病気や要介護になるリスクも高まる。医療費の推移を見ると、70歳以降に生涯の医療費の約半分がかかり、75~79歳でピークを迎える。また、要介護者の発生率は加齢とともに急に高まり、80~84歳では29.9%、85歳以上では60.3%にも上る。政府としては、団塊世代が70歳以上になる2020年までに、医療・介護制度改革を進めたいのであろう。

誰しもが避けられない高齢化。具体的に改革の内容とその影響についてみていきたい。

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