「60歳までに保険料を払ってしまう『終身医療保険』に入っておくと、やはり安心だと思っています」
ある労働組合が主催しているマネーセミナーに招かれた際、複数の女性からこのような意見を聞きました。
入院等のリスクが高まるのは老後であり、長期間入院するようなことになると、金銭面はもちろん、心理面での不安も大きいので、一生涯の保障がある医療保険で備えたい、というわけです。保険料を60歳までに払い込んでしまうことにするのは、老後の出費を抑えるためです。
「終身医療保険」の問題点とは?
同じような考えは、保険相談にいらっしゃる人たちからも、頻繁に聞くことなので、私見を述べることにします。結論から言うと、筆者は「終身医療保険」の利用には否定的です。ポイントは3つほどあります。
まず、老後になると長期入院するといった「状況設定」から離れて考えることが大切だと思います。「年金生活になった後、医療費などの出費がかさんだ場合、貯蓄を取り崩しながらの生活にどれくらい耐えられるだろうか……」――。こうした想像を膨らませていくと、冷静な判断が難しくなってしまうからです。
では、どのように考えればいいのでしょうか。1つご提案したいのが、医療保険から給付されるおカネの「額」だけを見ることです。
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