リーダーに求められる究極の資質は「度胸」だ 経営が行き詰まったときにどうするべきか

✎ 1〜 ✎ 29 ✎ 30 ✎ 31 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そのような心掛けで情報を集め、その中から、経営行き詰まりの打開策を見つけ出す。特に、これからの時代は今までとは異次元の世界、非連続的時代がやってきます。いくらでも自分の経営を存続させ、成長させる道、壁を突破する新事業は考えつくでしょう。

要は、行き詰まった、あるいは行き詰まりそうだと感じたならば、とりわけ今の時代は、いくらでも新しいシーズ(seeds)はありますから、「衆知を集める」「情報を集める」ことは、極めて有効であるといえるのではないでしょうか。

行き詰まったときの経営者がとるべき対応は、以上の最小限3つの項目ですが、そのような、行き詰まりを打開する経営者の条件は何かといえば、経験的にいえば、「経営センス、判断力、度胸」の3つでしょう。「経営センス」があれば、経営が行き詰まってもどのような対応をすべきか、事業の方向転換はどうすればいいか、どのように時代に合わせて新分野に取り組むべきか。そのようなことを直感的に把握することができるでしょう。

また、「判断力」。その新しい事業、新しい分野に取り組んで、将来はどうか、あるいは利益は確保できるが、問題は出てこないか、最初はともかく、反社会的な活動にならないかなどを判断する。その「判断力」が求められます。儲かる、成功すると経営センスで、よし取り組もうと取り組んでも、判断力がないと、その後しばらくして、とんでもない災難に出合い、結局は倒産ということになります。判断力が必要なゆえんです。

結局は度胸が大切

3つ目は、「度胸」でしょう。なにせ、今の経営の基本に則っているとしても、まったく未知の事業、未知の分野に取り組むわけですから、相当な投資も必要になってきます。

いくらセンスがあり判断力があっても、そこで躊躇すればおしまい。「百尺竿頭進一歩」(竿の先から踏み出す勇気)で、その新しい方向でたとえ失敗しても、為すべきことはした、やるべきことはやり尽くした。わが身がどうなろうと以(もっ)て瞑(めい)すべし、この新しい分野、事業に飛び込むんだという「度胸」がなければ、窮状を打開することはできない。経営の壁を打ち破ることはできません。そういう意味で、経営者には「腕力」が必要。意志の強さというか、「千万人と雖(いえど)も吾(われ)往(ゆ)かん」という、そのような「度胸」が必要だということです。

行き詰まった経営を打開する方法は、それぞれいろいろと考えられるでしょうが、少なくとも、行き詰まっても行き詰まっていない、道は無限にあるということ、白紙にして新しい事業、分野を考えること、情報を集めること。当たり前のことばかりですが、センスと判断力と度胸で、経営の壁を突き破ることを考えてみることが必要ではないかと思います。

江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

えぐち かつひこ / Katsuhiko Eguchi

1940年名古屋市生まれ。愛知県立瑞陵高校、慶應義塾大学法学部政治学科卒。政治学士、経済博士(中央大学)。参議院議員、PHP総合研究所社長、松下電器産業株式会社理事、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長など歴任。著書多数。故・松下幸之助氏の直弟子とも側近とも言われている。23年間、ほとんど毎日、毎晩、松下氏と語り合い、直接、指導を受けた松下幸之助思想の伝承者であり、継承者。松下氏の言葉を伝えるだけでなく、その心を伝える講演、著作は定評がある。現在も講演に執筆に精力的に活動。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事