”本物になる”には30年かかる 名古屋で活動する男女デュオ「ETT」

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カフェにて。会うのが2回目だと、2人の表情が少し柔らかくなった気がします

”芸能人”とは?

ETTの音楽は聴き心地いいけれど、一筋縄ではいかない。何かが引っかかり、心に残る。この音楽を作って演奏している2人にも同じような印象を受けた。インタビューの途中で「こんな話では原稿にまとめにくくないですか?」と優しく心配してくれたが、確かに書きにくかった。2人はミュージシャンとしてのキャリアに明確なビジョンや戦略などはない、というより考慮していないからだと思う。それだけに、音楽そのものに集中し、聴いてくれる人がいたらきっちり届けたいという姿勢が際立つように感じた。

遠い昔、「芸能人」はこの2人のような存在だったのかもしれない。普段は一緒に共同作業をしていて、神事や祝い事のときには人々の心に深く響くような歌を披露する。どんなに上手でもそれは職業ではなく、得意な技能のひとつにすぎない。貨幣経済の発達していない共同体においては、農業や狩猟の収穫物と同じく、技能の成果もみんなで分かち合うものだったのだろう。職業とは何なのか、何のために働くのかを考えさせられるインタビューだった。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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