デキる上司は決めるべきところを決めている つねに人格者である必要はない

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しかし、こと「仕事」においては、模範的でなければならない。ツボを押さえるという言葉がありますが、大切なところだけは、しっかりと押さえておかなければなりません。これは言い換えれば、「権威を保つ」ということです。「権威」については、いろいろな定義があると思いますが、私は、「社長は社長らしく、上司は上司らしく」あるということから、生まれてくるものだと思います。

けじめをつけることが大事

要は、キメルときにキメルことが必要です。為(な)すべきことを為し、けじめをキッチリとつけるということ。そうすれば、部下は「欠点もあるけれども、さすが上司だ!」と感じ入ることでしょう。

部下は、見ていないようで上司のことを見ているものです。しっかりと上司を観察しています。為すべきことを為さないままに、部下に物申せば、おなかの中で部下は「あなたはどうなのよ」とつぶやいています。部下に「任せたよ」と言いながら、自分は、平日ゴルフに行ったとすれば、部下は「なんだよ、“任せたぞ・できない上司の・逃げ言葉”じゃないか」と、おなかの中で嘲り、やる気もなくすでしょう。

時間のけじめ、公私のけじめをつけているか。金銭にルーズなところはないか。経営に対する、仕事に対する熱意は誰にも負けていないか。こうしたことをつねに自問自答しつつ、清く正しく裏表ない上司に、おのずと権威が生まれてくるのです。権限の委譲は、可能な限り行うべきですが、「権威」を委譲してはダメです。

以前、福岡空港で、時間待ちのためラウンジで出発時間を待っているときに、このようなことがありました。

私の席の隣に、2人連れの男性が座りました。大きな声で話し合っていましたので、その話が、聞かずとも聞こえます。2人は大阪の中小企業の社長と出入り業者の幹部のようでした。2人は非常に奇妙な話をし始めました。出入りの業者の人が「社長、ゴルフに行きませんか」と言うと、その社長が「そうやなあ、しばらく行ってへんなあ。行こか」と応える。そこで、「予定を決めましょう」と言って、手帳を出して「いつの休みにしましょうか。どの日曜日がいいですか」と尋ねている。

すると、その社長が「うん、日曜日もいいなあ。休みもいいな。けどな、最近は日曜日以外でも結構行っとるで」「そうですか」と業者の人は答えていましたが、その人は社長がなにを言っているのか、ピンとこなかったのでしょう。「そうですか。で、第3日曜日にしましょうか、第4日曜日にしましょうか」と言うと、その社長は、イライラした声で「だからやな、日曜日や休みの日はゴルフに誘うのはやめてくれや。日曜日や休みの日にゴルフに行くような者は、いい家庭ができん」。聞くでもなく聞いていた私は、腰を抜かさんばかりに仰天しました。業者の人も大いに驚いたような声の様子でしたが、とにかく平日ゴルフの予定を決めたようでした。

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