(第12回)社会人とのコミュニケーションが就職活動を成功に導く~インターンシップ編

(第12回)社会人とのコミュニケーションが就職活動を成功に導く~インターンシップ編

八木政司

 先月末まで採用プロドットコムに首都圏の某私立大学に通う二人の二年生が授業の一環としてインターンシップに来ていた。最初の1~2日の仕事は、事務的な雑用をこなしてもらうだけだったが、3日目あたりからかかってくる電話の応対を任せた。聞き耳をたてていると、両人の緊張が手に取るように伝わってくる。
 人間とは普段使い慣れていない言葉を使うと、途端に"しどろもどろ感"が表面化する。例えば、先方からの電話に出る。弊社の担当者が不在なので、弊社から電話を"あらため"なければならないのだが、ついつい連絡を"折り返し"差し上げますと口に出るといった具合だ。
 入社試験などに出題される間違い探しの選択肢のなかに「名誉返上」や「汚名挽回」といった引っかけ言葉が混じっているのをたまに見かける。頭で意味は理解できていても、いざ文字になったり、言葉として発したときに、その間違いに気づきにくいというパターンだ。

 インターン生のI君に指摘をすると、「ああ…そうだ」とすぐに間違いに気付くのだが、同じような状況になると見事なくらい同じ箇所で間違ってしまう。本人は「間違いの指摘を受けた箇所も内容も頭では分かっているのだけど、喋っている口と頭の中がどうにも瞬時に同化してしまう」と反省の弁を語る。口で間違ったことを喋りながら、ほぼ同時に「自分の喋り方は間違っている」と脳が理解しているというわけだ。
 こういうことは、社会人なら誰しもが経験している。いい意味で慣れるということは、I君が頭で考えながら喋っていることが自然とできるようになることだ。誰からかかってきた電話でも"いつもお世話になります"のは何故か、電話で社員を"さんづけ"で呼ばない理由などを説明すると、二人ともまったく知らなかった新鮮な価値観に出あったような表情になる。

 さて、前回までの業界研究から、一歩進んで今回は企業研究や仕事研究について述べていきたいと思う。まだ、OBやOGと直接コミュニケーションをしていない段階でできる企業研究や仕事研究の方法として、「ビジネス・イメージ・シミュレーション」が身近で良い方法だとお話した。
 実際に、採用ホームページや入社案内に登場している社員になった気持ちで仕事の内容を読み、達成感を感じることができるかどうかで、自分自身のなかに潜むその仕事に対する情熱を測ることができる。しかし、いくら見事にシミュレーションができるようになっても、やはりI君の電話応対をみてもわかるとおり、実際に社会のなかでやってみないとわからないことや、社会人とコミュニケーションをしてみないとわからないことは多い。OB・OG訪問は、このようなわからないことに対する気づきを促す最も身近な方法なのである。
 私自身、二人のインターンシップ生と一緒に数社の企業を訪問した。OB・OG訪問ならぬ、採用担当者訪問というわけだ。
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