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ナイキ創った「ダメ男」、フィル・ナイトの魅力 ほぼ日CFOが語る「圧倒的リアリティ」とは?

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――現代の起業や経営に通じるところはありますか。

もちろん、たくさんあります。タイプライターしかなかったあの時代に、顧客名簿をつくって、その全員に手紙を書いたりして。これはナイトさんではなく、正社員第1号のジェフ・ジョンソンがやっていたことですが、マーケティングの王道ですよね。

冒頭で紹介したハブスポットのブライアン・ハリガンは、デイヴィッド・ミーアマン・スコットと共著で、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』という本を書いています。

グレイトフル・デッドも、ニュースレターを送るために、ファンの名前と住所のリストをつくっていて、ツアーをするときには、この人たちに優先的にチケットを売りますという案内をすることで、ファンを増やしていったんです。ブルーリボンも、それと同じことをしているんですね。

お客様との1対1の関係をつくっていく、という姿勢は、ほぼ日の基礎にもあるもので、とても共感しました。

それに、共同経営者のバウワーマンも、さまざまな素材や構造の工夫で靴のソールを改良しようと試みていますよね。自分も製品のユーザーであってお客様との距離が近い。ユーザー(自分)が喜ぶために何でもする、どんどん探究していくという姿勢は、いろんな業態で支持されるものです。

そして、ナイトは運がいいですね。やるべきことをやらない起業は失敗が必然ですが、やるべきことをやったからといって成功が保証されるわけではない。ビジネスには、運の力も必要です。ロゴマークができたときのエピソードや、日商岩井との出会いのシーンなどは、運がいいという表現があてはまるなあ、と思います。

屋台でラーメン屋をやりたい人にも読んでほしい

――最近売れているシリコンバレー起業本との違いはなんでしょうか。

具体事例の分厚さですね。シリコンバレーで成功している会社でも、社歴が10年以上ある会社というのはほとんどないでしょう。この本は、創業から上場に至るまでの約20年の長さを書いたものですから、ビジネスの厚みが違います。

シリコンバレーに住んだり、働いたことはないので、確かなことは言えませんが、誰に向かって事業をしているか、ということも違うと思います。もちろんシリコンバレーにもいろいろな会社があると思いますが、先端のテクノロジーで世界を変えていくというのが、基本的によしとされる方向でしょう。

一方、この本で扱われるのは、靴。一人ひとりに自分たちの靴を履いてもらいたい、もっと走ってもらいたい、という商売です。もちろん、テクノロジーは必要ですが、最終的には人が、感覚的にこれはいい!と感じるところで売れていくものです。洗剤も、飲み物も、手帳も、消費財はみんなそうですね。屋台でラーメン屋をやろうかな、という人にも共通点があります。

自分が好きなラーメンがあって、もっとおいしいラーメンを自分も食べたい、人にも食べてもらいたい、という気持ちがあって、そのために材料や調味料の配合を探究していく。1号店がうまくいって、2号店を出すことになって、高校のときの仲間に協力してもらって……というストーリーがあるとすれば、本書とほとんど同じですよね。

そういう意味では、多くの人の共感を得られる、汎用性の高い本だと思います。英語版を読み終えたとき、英語が読める人はみんな読んでと、この本のことを紹介しました。「日本語が読める人はみんな読んで!」と声を大にして言いたいです。

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