武蔵vs麻布、本当に「変」なのはどっち? 髪を緑に染める理由、修学旅行がない理由
神田:僕は高校野球を20年以上取材していて、当然ながら高校野球の選手たちと話をすることが多くて。高校野球で強い学校なんて、偏差値がそんなに高い学校はあまりないんですけども、そこで麻布の生徒と高校野球の選手ってよく似てるなと思ったんですね。
青臭い正義感があって、周りから将来有望視されているはずなのに、未来への漠然とした不安がある。でも高校野球の選手は、聞いたらすぐにパッと答えてくるんですけども、麻布の生徒は保険をかけるようなしゃべり方をするのがとても印象的で。
おおた:うん、うん。これね、実は武蔵も同じです。「別の考え方もあるかもしれませんが、僕はこうこう、こういうふうに思います」とか。
神田:それ、頭いい子のしゃべり方の特徴?
おおた:頭いい子っていうか、それが「意見の違う人がいる前提で、いろんな意見を両立させるための話法」なんだと思うんですよね。自分だけの意見を信じているんじゃなくて、ちゃんとほかの人の意見があることもわかっていますよと。それを聞き入れる余地もちゃんと持ってますよと。そのうえで発言していますよと。たぶん、それがデフォルトになってるんですよ。で、たぶん僕も、いまでもそれやってる気がする。
神田:それね、麻布のほかのOBの人からも同じことを言われました。神田さんがそういうこと言うんでドキッとした、なんて。
おおた:これは麻布にも武蔵にも共通する点ですね。
神田:開成の人ってどういうしゃべり方するんですかね。
おおた:似てるんじゃないかと思いますけどね。僕のイメージでは。
武蔵と麻布の共通点は「先生の楽園」
おおた:僕が、武蔵と麻布の2校、そして灘とか開成なども含めたいい学校に共通して思うことは、先生たちの楽園だなってところです。先生たちが生き生きと楽しそうにしていて、研究を続けていて、「ほら、こんなに楽しい世界があるんだぞ。見てみろ、やってみろ」っていうふうに、生徒たちをけしかけている。
大人が楽しい人生を生きていて、その人生の楽しさを伝える。これ、大人の非常に重要な役割だと思うんですよ。親もそうであるべきだと思います。そういう大人に見守られているからこそ、安心して優秀な生徒たちがのびのびと自分の才能を伸ばしていく。
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