武蔵vs麻布、本当に「変」なのはどっち? 髪を緑に染める理由、修学旅行がない理由
おおた:学校の中に貼り出されている新聞に「なぜ麻布生は髪を染めるのか」って書いてあるわけですよ。「世の中の高校は髪を染めること自体を禁止にしている。その校則は本当に正しいのか」って、非常に余計なお世話なことをここで論じているっていうですね。
そして、「ルールが正しいのかどうかを自分たちで考えるのが麻布生の本分である」みたいなことが書いてある。カラフルに髪を染めている麻布生を見て、神田さんはどうご覧になりました?
神田:いや、なんかいきがっているのかと思って。
おおた:ああ、そう。おっしゃるとおり。
神田:だから、それが自由の象徴のつもりなんでしょうねっていう。「ふーん」って感じで。
おおた:そう。はっきり言って痛々しいんですよ。全然かっこよくないですよ。で、たぶんこれ、本人たちもかっこいいとは思ってなくって。その痛々しさを自分でも自覚しながらやってるところがあるんじゃないかな。
神田:僕は田舎のすごいヤンキー中学校出身だったので、髪染めるやつって、本当に危ないやつなんですよ。「そんなふうな人間じゃないでしょ、君たちは」っていうね。おおたさんも髪を染めてたんですか?
おおた:これだけ染めるようになったのは僕らよりも後だと思います。麻布の平秀明校長も「みんながやってるから染めてるだけだよ」って言っています。あれって、電車に乗ってるときにみんなから白い眼で見られるような経験を自らして、これまで自分が被ってきた「いい子の仮面」を引っ剝がすための切ないイニシエーションに見えるんですよね。
「麻布って緑で自由ですよね。だってほかにそんな学校、ないじゃないですか」とかよく言われるんですけど、「いや、普通の高校生は緑にしたいって思わないだけじゃないですか」って答えるんですけど(笑)。
神田:確かに緑だからってなんとも思わないですね。武蔵って、髪染めてます?
おおた:ときどきいますけど、あれはたぶん自分の意志でやってるんでしょう。
武蔵に修学旅行がない理由
おおた:次は武蔵のふしぎ。武蔵では山登りしたり遠泳したり行事がたくさんあるんですけど、不思議なことに、修学旅行がないんです。40年ほど前に、自分で考えない集団行動、付和雷同的な雰囲気になっちゃうような団体旅行の悪いところが出てしまうんであったら、それは武蔵の文化にふさわしくない。だからやめましょう、っていう判断をした。
神田:その代わりに、なんか林間学校的なものは現地集合・現地解散なんですよね。
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