生命保険に関する「困った質問」とは何か 「ありもしない正解」を求めている?

✎ 1〜 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 28 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

次に「お得な保険」と背中合わせの関係のように感じるのが、お客様からいただく「今、入っている保険を解約しても大丈夫でしょうか?」という質問です。保険を解約した後、後悔することにならないか?という意味であれば、正直、愚問だと思います。

言うまでもなく、「医療保険」や「がん保険」などに加入している人が給付金を受け取る可能性は、加齢とともに高まります。そのため、保険契約を解約したあと、病気で入院することになったときなどに、「保険に入っておけばよかった」と感じる機会は増えるに違いありません。

保険は利用がふさわしい場合に利用したらいいもの

しかし、そういう問題ではないのです。保険は後悔しないためにあるのではなく、保険の利用がふさわしいときに限って利用すべきものだからです。

たとえば、自立していない子どもがいる現役世代の世帯主が、一定期間、急死に備えるような場合です。死亡する確率が低いので、安い保険料で手厚い保障を得ることができます。

「保険に入っていてよかった」と感じる機会はまれでしょう。だからこそ、負担しやすい料金で保険を利用できるのです。キーワードは「確率」と「コスト」です。

繰り返しになりますが、加齢とともに各種の給付金を受け取る確率は高まります。とはいえ、給付金等を受け取るにはコストがかかります。先に書いたように、医療保険などの保険料からは数十パーセントに及ぶ保険会社の運営費が引かれるのです。

「後悔しないように……」と考えると、おカネの心配をしたくない人たちが、加入者全体の収支はマイナスになる「おカネを失いやすい仕組み」を広く長く愛用することになりがちなのです。冷静でありたいと思います。

最後に、「正解は誰にもわからないはずだ」と感じるのが、万が一の際や老後に必要な資金に関する「いくら(おカネが)あるといいのでしょうか?」という質問です。

老後資金を例にしてみましょう。ある保険会社のホームページには、夫婦2人でゆとりある老後の生活を送るには月額で平均34万9000円が必要、という記載があります。

引用元は、公益財団法人生命保険文化センター 平成28年度「生活保障に関する調査」です。素朴に、収入や生活水準などが異なる他人がイメージする金額を知っても仕方がない、と感じます。

自分の人生に必要なおカネの額は、自分で考えてみるしかないと思うからです。しかも、それほど難しいことでもないのです。筆者の例をご紹介します。

次ページ筆者の例で試算してみよう
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事