あるとき、講演の後のティータイムでスタッフのママさんたちとモンスターペアレントの話題で盛り上がりました。ママさんたちが実際に見聞きした例として、
「学校の遠足と親戚の法事の日が重なったので、遠足の日を変えてほしい」「中学受験の勉強で大変なので、余分な負担になる当番や係の仕事をナシにしてほしい」「学校で眼鏡を落として割れたのは先生の監督不行届きだ。修理費を弁償してほしい」
などが挙げられました。ママさんたちは「ありえないよね。完全にモンスターだね」と非難していました。
モンスターペアレント扱いされた!
ところが、しばらくして、あるママさんが「子どもの宿題が多すぎると思って先生にお願いしたら、モンスターペアレント扱いされた」と話し出しました。すると、少し雰囲気が変わって、別のママさんが「そうそう、私も子どもの友だち関係のことで相談したらモンスターペアレント扱いされた」と言いました。
それからは、学校に要望を伝えることの難しさについて盛り上がりました。言いたいことがあってもなかなか言えない。子どもが人質になっているので下手なことは言えない、という感じでした。
私も長年小学校の教師として仕事をする中で、いろいろな事例を見聞きしてきました。いちばん驚いたのは、5年生の先生の報告で、「予定帳の持ち物欄に『傘』と書いてなかったので、子どもは傘を持っていかなかった。下校時に雨が降ってぬれて帰ってきたのは先生の責任だから、クリーニング代を出してほしい」と真顔で要求されたという話です。この例のように、客観的に見れば冗談のように聞こえる内容でも、言っている本人は至って真剣であり、自分が理不尽な要求をしているとは思っていないことが多いのです。
では、どのようにすれば、モンスターペアレントにならずに済むのでしょうか? これについては、内容面と伝え方の2つの面から考える必要があります。
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