あるとき、「うちのA男が上級生B男に学校の池に落とされ、ずぶぬれで泣きながら帰ってきた。学校ではどんな指導をしているんだ!」と怒鳴り込んできた親がいました。教頭と担任が当事者の2人の子どもとその場にいた複数の子どもたちに話を聞いてわかったことは、「A男が友だちの帽子を取って放り投げようとしたとき、止めに入った上級生のB男にぶつかってバランスが崩れて池に落ちた」というのが真相だとわかりました。つまり、そもそもA男がほかの子の帽子を取って放り投げようとしたことに問題があったのです。
わが子の話だけを鵜呑みにするのは危険なこと
もちろん、子どもが友だちとのトラブルや先生への不満などを話してくれたとき、「そんなことあるはずないでしょ」「どうせあなたが悪いんでしょ」と門前払いするのはよくありませんので、まずは「そうなんだ。嫌だったね」と共感的に聞いてあげることは大切です。でも、共感しつつも、「本当にそうなのか? これはこの子の言い分であり、相手にも言い分があるはずだ」という意識をつねに持っていることが必要です。
そして、子どもの言いたいことを共感的に聞いた後で、「じゃあ、相手の○○君はどう思ってるかな?」とか「自分は悪いところなかった?」などと聞いてみれば、意外と「実はボクもたたいちゃった。○○君もイヤな気持ちだったと思う」と話し始めることもよくあることです。もちろん、そんなに簡単に真相はわからないことも多いのですが、「子どもの話だけを鵜呑みにしない」ということに心掛けてさえいれば、一方的なクレーマーになることはなくなります。
以上のように、「いきなり学校に言うのではなく、その前に誰かに言ってみる」のと「子どもの話を鵜呑みにしない」の2つに心掛けることで、内容をある程度客観的に見られるようになります。そのうえで、やはりこれは学校に言うべきだとなる場合もあるでしょう。そこで次に大事なのが伝え方ということになります。
内容がわが子だけでなく学級のほかの子や、あるいは学級全体にかかわることなら、PTAの学級役員から学校に話してもらうようにするといいでしょう。そうすれば、誰が言い出したか学校にはわかりませんので精神的な負担が軽くなります。
内容がわが子だけに関することなら、親自身で臨むことになりますが、そのときいちばん大事なのは一方的かつ感情的にならないということです。内容面では問題がなくても、話し方に問題があれば、やはりモンスターペアレントと思われてしまいます。
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