勝ち組白モノ家電「洗濯機」は何がスゴいのか 高価になっても消費者がついてきた理由とは
洗濯機の価格は、40年近くも右肩上がりが続いている。一方、冷蔵庫の価格は2000年代半ばに大きく落ち込んだが、ここ3年ほどで1980年代のピークをようやく超えた。家庭用エアコンは、30年前のおよそ半額にまで下落している。洗濯機の高付加価値化に対しては、一貫して消費者から支持を得られていることがわかる。
実際、洗濯機は目覚ましく進化してきた。洗濯槽と脱水槽が別々の「2槽式」から、脱水までできる「全自動洗濯機」へ。2000年代からは乾燥機が一体となった「洗濯乾燥機」が広く普及した。
2003年にパナソニックが発売した「ななめドラム」が大ヒットし、日本になじみのなかったドラム式が市民権を得た。一般的な縦型の全自動洗濯機よりも高額なドラム式の増加は、単価の引き上げにつながった。
大容量化で高くなっても消費者は買う
さらに「近年の単価アップは大容量化によるところが大きい」。そう分析するのは、市場調査会社ジーエフケーマーケティングジャパン・コンシューマーテクノロジー事業部の行村真実子氏だ。背景にあるのは共働き世帯の増加。「大容量の洗濯機ならば、洗濯回数を確実に減らせる。多少高くてもその価値を実感できる」(行村氏)。
この大容量化を牽引するのが、パナソニックと国内洗濯機市場でトップを争う日立アプライアンスだ。同社が販売する2016年モデルの最大容量は、ドラム式、縦型ともに業界最大の12キログラム(洗濯・脱水容量)。2008年に同社がドラム式を発売した際の最大容量は8キログラムだった。
日立の調べでは、8キログラム以上の機種が市場に占める比率は、2009年度の33%から2016年度に47%まで拡大している。特に10キログラム以上の超大容量の伸びが著しい。
「大容量化の一番の背景は、共働き世帯の増加によるまとめ洗い需要。加えて、毛布などの大物を家で洗いたいこともある。クリーニングに出したり、コインランドリーに行く手間やおカネがいらないことも大容量が受けている理由だ」と日立アプライアンス・ユーティリティ事業企画部の津坂明宏部長は分析する。
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