勝ち組白モノ家電「洗濯機」は何がスゴいのか 高価になっても消費者がついてきた理由とは

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設置場所や使い勝手を考え、外寸はほぼそのままに容量を大きくしてきた。「ドラムと本体のすき間を可能な限り小さくするために制震制御を高めている。揺れを抑えるバランサーとなる特殊な液体の配置などを工夫したり、サスペンションを改良したりするなど、毎年進化させている」(日立アプライアンス・ユーティリティ商品企画部で洗濯機を担当する玉川博康部長代理)。こうした改良は、日立に限らず各社も取り組んでいる。

日立アプライアンスの2016年モデルのドラム式洗濯機(2017年モデルは未発表)。最大容量は12キログラムだ(写真:日立アプライアンス)

もちろん、大容量化だけが競争軸ではない。基本性能である「きれいに洗う」ために、各社とも技術を駆使する。省エネや節水で大きな差はつかないが、手を抜くことはできない。使い勝手を高める工夫も積み重ねている。

これまで単価の引き上げに成功してきたのは事実だが、この先もそれが可能かどうかはわからない。

単価上昇に寄与してきた洗濯乾燥機の台数シェアが、数年前から減っているのだ。乾燥機能のない全自動洗濯機(簡易乾燥機能はあり)は5年前に7割を切っていたが、足元では8割近くまで盛り返している。全自動洗濯機は洗濯乾燥機と比べると数万円安い。

洗濯乾燥機の中でより高価なドラム式(大半は乾燥機能付き)のシェアもほぼ頭打ちとなっている。

大容量化が限界、新たなアピールポイントは

それでもここ数年、市場全体の単価を牽引してきたのは前述の大容量化だ。が、大容量機種への需要シフトはまだ続くにしても、これ以上のサイズアップには限界が近づいてきている。

白モノ家電全般にいえることだが、国内市場は国内メーカーが強い。とりわけ、住環境や生活習慣と密接な洗濯機は海外メーカーのシェアはわずかだ(東芝ライフスタイル、シャープ、アクア(旧三洋電機)の3社とも海外企業の傘下)。

2008年に三菱電機が撤退して以降、パナソニック、日立、東芝、シャープ、アクアの5社が市場を分け合ってきた。台数成長が見込めない以上、単価上昇が止まれば競争はより厳しいものになる。

今回、パナソニックが提案した新機能は切り札になるのか。洗濯機が勝ち組家電の座を守るためには、消費者へのアピール材料を生み出し続ける必要がある。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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