秩父を席巻した『あの花』の威力 アニプレックス・斎藤俊輔プロデューサーが語る制作秘話(上)

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男女6人の思春期の少年少女たちが抱く恋心、友情、葛藤を真正面から描き出したアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(通称『あの花』)は、2011年4月からフジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」内で放送。子どもの頃に起きた事故が原因で、心に葛藤や傷を抱えた少年少女たちを見つめた、時にやさしく、時に痛切な物語世界は、放送を重ねるごとに人々の心をつかんだ。
また、女性キャスト陣がZONEの名曲をカバーした主題歌「secret base~君がくれたもの~」はオリコンチャートで初登場10位を記録するヒットとなった。さらにブルーレイ&DVDの累計出荷枚数が27万枚を突破。本作舞台となった秩父市には多くのファンが「聖地巡礼」に訪れるなど、本作はまさに『あの花』現象を呼び起こした。そんな多くの人に愛された名作が映画化され、『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』として8月31日から新宿バルト9ほかにて公開される。
今回は、本作の配給・製作を手掛けた斎藤俊輔プロデューサーに『あの花』が生まれた経緯、そして物語の舞台が秩父市となった背景などについて聞いた。

愛されるオリジナル作品を作りたかった

――まずは『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』(以下、『あの花』)の企画が生まれた経緯を聞かせてください。

監督の長井龍雪さん、脚本の岡田麿里さん、キャラクターデザインの田中将賀さんたちが手掛けた『とらドラ!』という作品があった。僕も大ファンの作品だったのですが、その3人のクリエーターが、また新しい企画をやりたいねと話していたというのが、まずひとつの流れとしてありました。

もうひとつ流れとして、2010年から11年にかけて、アニプレックスとA-1Pictures(アニプレックス傘下のアニメ制作会社)で、ずっと愛されるようなオリジナルアニメを作ろうという会社の目標があり、多くのオリジナル企画を生み出していましたが、その中のひとつが『あの花』だったわけです。

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