――長井監督、岡田さん、田中さんという3人が作業を進めるうえでの役割分担はどうなっているんでしょうか? お話を聞いていると、岡田さんがリードする場面が多いようにも思うのですが。
『あの花』に関してはそうでした。岡田さんがシナリオを書いてきて、それに対して監督と田中さんを中心にディスカッションしていくというやり方です。岡田さんは、田中さんと長井さんを完全に信頼しているので、自分がここまでシナリオを書けば、もっとそれをさらに高めてくれると信じている。彼らはそれぞれが本当によきライバルなのです。
まず脚本が仕上がって、監督がコンテにする。それを田中さんが絵に起こしていく、というリレー方式なのですが、それぞれが10だったものを自分は20にしてやる、20だったものを100にしてやるみたいな気概があって、すごくいいなあと思いました。
シナリオから映像になって、いろんな人を介すにつれて、元の狙いがどんどん薄まっていったり、絵になってみたら面白さが失われるということはよくあるのです。しかし、この3人の場合はまったく逆で、どんどんいいものになっていく。もともとの岡田さんのベースが高いというのも含めて、完成したときには、ほかの作品では味わえないような驚きがいつもあります。
ヒット作を生み出す空気作りが大切
――クリエーティブな面でプロデューサーは、作品作りにどのようにかかわっているのでしょうか?
アニプレックスのプロデューサーは、作品に対して積極的なかかわり合いがあります。脚本に対して、「こうしたほうがいいんじゃないか」といった意見は言いますし、上がってきた映像に対しても、監督と相談しながら、よりよくするための意見交換をすることもあります。監督たちに対して、こういう表現やキャラクター、言い回しなんかが、今、お客さんたちにウケていますと提案する。ヒット作品を作るための空気作りがプロデューサーには大切だと思います。
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