高くたって欲しい「冷蔵庫」の知られざる進化

国内ブランドが存在感、新製品で需要深掘り

前面をガラスコーティングしたデザイン性の高いモデルの人気高まりも、単価の押し上げに貢献している。「ガラスドアは日立が2008年に先駆けて投入した。その後、各社が追随しスタンダードになりつつある」(日立の南雲部長代理)。

こうしたスペース効率(容量)のほかに、省エネ、おいしさの「基本3性能」を磨き上げ、各社は成熟市場でも単価引き上げに成功してきたのだ。今年の新製品も、基本的にこの流れにそっている。

7月の販売台数は2ケタ増

市場調査会社ジーエフケーマーケティングジャパン(GfK)の調べによると、2017年1~6月の国内販売台数は約220万台と前年同期比1%減。ただ「7月の販売台数は前年同月比12%増と勢いが出てきた」(GfKコンシューマーテクノロジー事業部の行村真実子氏)。

猛暑が続く西日本に対し、東日本はお盆前から暑さが緩んでおり、年間400万台に復帰できるかどうかは微妙なところ。もっとも、今年が足踏みだったとしても、来年以降はエコポイント特需の買い替え需要が期待でき、市場が回復局面にあることは間違いなさそうだ。

(出所)取材を基に東洋経済作成

ところで、冷蔵庫の新製品はなぜ夏商戦の終わり頃に投入されるのか。冷蔵庫の新製品は、大型機種の上位モデルならメーカー希望小売価格で30万円を超える。

もし夏商戦前に投入しても、値引きは限定的になる。一方、旧製品は大きく値下がりするため、価格面で太刀打ちできなくなる。

夏商戦で在庫を売り切ってしまい、スムーズに新製品に切り替える。現状では、そうしたサイクルで落ち着いているわけだ。

成熟製品ながら、「基本3要素」を愚直に追求してきた冷蔵庫。一方で、「大容量化もそろそろ限界が見えてきた」(GfKの行村氏)という指摘もある。ようやく上向いてきた市場の中で、いかに次の価値を提案できるかに勝負はかかっている。

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