米国はこのままだと年末に大変なことになる 「米国経済は盤石」とは、もう言えなくなった

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それは日本のリーダー、管理職と言うのは自ら絶対リスクを負わず、傷つかない場所にいて、「それは危ない」「それはやるな」と、どちらかというと「やるな」と指示を出すことが仕事だと思っているフシがある一方、米国のリーダーは、そういうことに指示を出すことは滅多にない、という点に改めて気が付くわけです。

この違いはイノベーティブで好決算を連発するアマゾンやフェイスブックのような会社が次々と出てくる米国と、それらしい会社がまったく出てこないに等しい日本の現状に対する回答のような気がしています。とにかく日本の上層部は「やるな」ということが仕事のようになっている。一方、米国の企業では上司自ら「よし、やろう」というカルチャーが確実にあるのです。

米国は指揮官が自ら先頭に立ち、リスクを取りに行く

私の父は陸軍士官学校を出て終戦間際までシベリアにいたのですが、終戦後米軍で徴用され、3年間米軍基地で働いていた経験があって、面白い話をいろいろしてくれました。

帝国陸軍では「突撃!」となると指揮官(父は少尉でした)が「お前ら行けー、突っ込めー」と声をかけると下士官から突っ込んでいく。最終的には指揮官も参戦するのですが、突撃スタイルは要するに「部下から行け」というのがしきたりだったわけですが(大河ドラマで戦国時代の戦闘シーンを見ても大体これですね)、米軍で働いてみるとまったく違う。あいつらは「Follow me!!」といって指揮官が先頭に立って突っ込んでいくんだと。「これはやっぱり負けるわけだ」とよく話していたもんです。

実際、ワタクシの年代の皆様はコンバットという米国のドラマをご覧になったことがあるのではないでしょうか。その中で、サンダース軍曹は突撃するときに確かに「Follow me!!」と言って、自ら先頭にたってリスクを取りに行くわけですね。

父親は「自分を含めて、そうやってリスクを回避して生き残った奴ばかりがトップにいる日本はどうなんだ」といつもボヤいていたのをよく思い出すわけです。日米のマネジメントの差はまさにそこにあるのではないでしょうかね。リスク、リスクと騒ぎたて、自分では何もしない日本のマネジメント。「Follow me!!」と言って自らリスクを取りに行くアメリカ型マネジメント。みなさん、どちらの会社で働きますか(笑)。

名誉のために書き添えますが、ワタクシが4年在籍した丸紅という会社にはその意味ではすばらしい上司がおりました。

入社1年目のワタクシにかなりの金額(50億円程度)の商談を任せ、「とにかくお前の思うようにやってみろ、何かあったら責任は俺が取る。上司というのは日頃遊んでいても、そういう事態に対処して、うまく着陸させるのが仕事なんだから任せておけ。心配しないで思いきりやって来い」と言って私を現場に送り込みました。もちろん、こっちも怖いので報告はこまめにするわけですが、とにかく自分の考えた通りにやれ、としか言わなかったのです。

何回か結構「ヤバい」事態に陥りましたが、いつもそう言ってもらえたので報告も比較的早くできたのだと思います。すべて無事にリスクを回避することができました。

今思えばこの時代に教わったことで今の自分があるんじゃないかと思うくらいで、モルガン・スタンレーでも15年お世話になりましたが、この丸紅時代の教えで生き延びたようなものであります。そういう意味では時代なのか、丸紅という会社の社風なのかよくわかりませんが、マネジメントのあり方というのをまざまざと見せつけられた経験がございます。先方は厄介な社員だったと思っているかもしれませんが、ワタクシは丸紅株式会社に心より感謝している次第です。

ぐっちーさん 投資銀行家

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ぐっちーさん ■本名:山口 正洋(やまぐち まさひろ)。投資銀行家。1960年東京都港区生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。丸紅を経てモルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベア・スターンズなど欧米の金融機関を経て、ブティック型の投資銀行を開設。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広く ディールをこなす一方、「ぐっちーさん」のペンネームでブログを中心に大活躍。2007年にはアルファブロガーを受賞、有料メルマガも配信中。さらに『AERA』や『SPA!』で連載をもちつつ、テレビやセミナーでも人気。主な著書に『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』(東邦出版)、『ぐっちーさんの本当はすごい日本経済入門』『ヤバい日本経済』(後者は共著、いずれも東洋経済新報社)などがある。競馬予想も一流。一方でメインレースはほどほどで、平場の条件戦などを好む。【2019年9月29日19時編集部追記】2019年9月24日、山口正洋さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

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