銀座の中心でお寺がヨガ教室を開く深い理由 お寺に人が来ないなら、寺が街に出ればいい
「はじめてのくずし字・古文書」「親子で学ぶ 小学生からの数学入門」「ナチュラルフローヨガ」――。
名だたるラグジュアリーブランドが軒を連ねる、東京・銀座。中央通りに面したビルの5階にある、「GINZAサロン」では、連日こうした講座が開かれている。2016年5月にスタートし、会員数は現在約3400人を超えた。いったい、どんなサロンなのだろうか。
築地本願寺の「サテライトテンプル」
このサロンを運営するのは、あの築地本願寺だ。同寺の「サテライトテンプル」という位置づけのサロンで提供されるサービスは、「KOKOROアカデミー」「よろず僧談(そうだん)」の2つ。KOKOROアカデミーでは、仏教を学ぶ講座だけでなく、ヨガ、数学入門、アンガーマネジメント、NLP(神経言語プログラミング)心理学講座など、宗教色を排した講座もある。受講料は1講座1000円(終活ジャンルの講座は無料)。よろず僧談はなんと無料である。現役僧侶に45分間、何でも悩み相談ができ、文字どおりサラリーマンの「駆け込み寺」になっている。
この金額設定からもわかるように、収益を目標としたサロンではない。お寺に人が来ないなら、お寺が街に出ていこう。そして、ビジネスパーソンにも足を運んでほしい、という思いに基づいている。銀座という場所にサロンを開いたのはそのためだ。
サロンは会員登録が必要だが、入会金や会費は不要。浄土真宗門信徒への勧誘目的でもない。あくまでも仏教に触れる入り口であり、心を調えるための場づくり。講師には、他宗派の僧侶もいれば、元ビジネスパーソンの心理カウンセラーなどもいる。オープンしてみると、各講座は満席。参加者は30代から50代が中心で、女性が6割を占めるという。
このGINZAサロンを企画したのは、現在、築地本願寺の事務方トップで、宗務長でもある安永雄玄氏。10年計画で行われる「築地本願寺首都圏宗務特別開教区伝道推進基本計画」という壮大なプロジェクトのひとつなのだ。
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