銀座の中心でお寺がヨガ教室を開く深い理由 お寺に人が来ないなら、寺が街に出ればいい

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この基本計画は2016年のGINZAサロンの開設に始まり、今年の11月には境内に仏教や築地本願寺に関するインフォメンションセンター、カフェスペース、合葬墓が完成する予定だ。エンディングステージに関する24時間対応のコールセンターも開設される。弁護士や司法書士の紹介、死後のさまざまな事務手続きを代行する「死後事務委任契約」などに関しての相談もできるようになる。

ゆりかごから墓場まで――とまではいかないが、日頃から心豊かに生きていくための知恵を身に付け、心をケアし、最期を迎えられるように……。築地本願寺は、そんな人生に寄り添う「ワンストップサービス」を始動させた。そして、その計画の一端に、GINZAサロンは位置づけられる。

仕掛け人は元銀行員、50歳で得度

GINZAサロンの仕掛け人である安永氏、実は元銀行員という異色の経歴の持ち主だ。金融業界で働いていた頃、業績達成ありきの働き方に疑問を持ったことが仏教との接点の始まりだったという。

GINZAサロンの仕掛け人、築地本願寺の宗務長・安永雄玄氏は、銀行員としての自分と、人間としての自分のあり方に葛藤し、50歳でお坊さんの資格を取った(撮影:山内信也)

「大学卒業後、三和銀行に入行して22年間、国内、海外、出向先などさまざまな場所で金融の仕事をしてきました。ニーズをつくっておカネを借りていただく。融資をし続け、業績を上げることが銀行員の仕事。ビジネスマンとしての自分がある一方で、人間としての自分のあり方と、当時せめぎ合っていました。

その後銀行を退職し、ヘッドハンティングの会社に転職しました。同時にコーチングを勉強したり、セミナーに通ったりする中で、お坊さんになる学校があることを知ったんです。中央仏教学院という通信教育で3年間勉強し、50歳で得度しました」

得度とは、お坊さんになるための資格を得て、仏教者の入り口に立ったということだ。その後の安永氏は、平日はサラリーマン、週末は先輩の実家のお寺でお坊さんという二足のわらじ生活を送る。

「仏教は、人と触れ合う中で信仰が深まっていくことを実感します。お経も毎日読んでいると、体に染み入ってくる感覚があります。実践を通して、僧侶になっていったという感じでしょうか」

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