東京・四谷「坊主バー」に女性が殺到するワケ

「不謹慎だ」と言われても、悩みに寄り添う

東京・四谷にある坊主バー(VOWZ BAR)の店主、浄土真宗本願寺派の藤岡善念氏。バーの客の6割が、女性だ(撮影:梅谷秀司)

「極楽浄土ください」。若い女性がバーカウンター越しにオーダーする。出てきたのは、赤・黄・青の何とも色鮮やかなカクテルだ。ただのイメージではない。仏教の経典の1つ「阿弥陀経」に記された、極楽浄土の色を忠実に表現したものだ。

ここは東京・四谷にある「VOWZ BAR(坊主バー)」。スタッフのほとんどは、現役の僧侶である。店内には仏壇が置かれ、曼荼羅(まんだら)や経典の書かれた掛け軸に囲まれながら、お酒を飲む。仕事帰りの勤め人が訪れ、ガイドブック片手にやってくる外国人客も多い。

「最初は法話なんて誰も聞いてなかった」

人気のカクテル「極楽浄土」。経典に記されている極楽浄土の色を再現した。ほかにも、「無間地獄」「愛欲地獄」といったユニークな名前のお酒がある(撮影:梅谷秀司)

夜も更けてくるとお経があげられ、時事ネタや季節に合わせた法話が始まる。バーの客はお酒を片手に、法話にじっと耳を傾け、僧侶と一緒にお経を読み上げる。

「最初は法話なんて誰も聞いてなかったんですよ(笑)」。そう話すのは、店主の浄土真宗本願寺派の僧侶、藤岡善念さん。2000年9月、四谷にこの店をオープンし、今年で17年目を迎えた。仏教を身近に感じてほしい、その思いでバーの経営を続けている。

坊主バーの始まりは、1992年。5席ほどのカウンターと畳座談ができる部屋を併設した小さなバーだった。英語のoriginal vows = “本願”(阿弥陀仏)のvows(誓いという意味)、と「坊主」のダブルミーニングから名付けられた。もっとも、世間一般には「坊主バー」で浸透しているようだが。

お経をイメージした「折本」の形のメニュー。ちょっとしたこだわりがたまらない(撮影:梅谷秀司)

大阪にオープンしてから8年後の2000年、藤岡さんが24歳のときに、東京にお店を出したいという相談を受け、自分がやってみよう、と引き受けたという。

東京の坊主バーでは現在、10人のお坊さんが交代でカウンターに立つ。浄土真宗、曹洞宗、真言宗など、宗派もさまざま。カウンター越し、あるいはテーブル席に一緒に座って、お客さんの悩みに耳を傾け、仏教の教えから解決策のアドバイスをしてくれる。

次ページ僧侶が酒を出すのは今に始まったことではない
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 今見るべきネット配信番組
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 森口将之の自動車デザイン考
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ついに上場廃止、大塚家具の末路
ついに上場廃止、大塚家具の末路
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
2050年の中国<br>世界の覇者か、落日の老大国か

米国と並ぶ超大国を目指す中国。しかし中国の少子高齢化はこれまでの想定を超える速さで進行しています。日本は激変する超大国とどう付き合うべきか。エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、大前研一ら世界の賢人10人が中国の将来を大胆予測。

東洋経済education×ICT