銀座の中心でお寺がヨガ教室を開く深い理由 お寺に人が来ないなら、寺が街に出ればいい

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元銀行員のビジネスマンで幅広いネットワークを持つお坊さん、という存在は、仏教界で瞬く間に有名になっていった。浄土真宗本願寺派が行う有識者会議にも声がかかるようになった。2012年に教団の組織改革があり、15人の役員のうち3人の社外取締役を置くことに。安永氏はそのうちの1人に任命された。そして同時期に、築地本願寺は本山である京都の西本願寺の直轄寺院となり、首都圏特区における伝道教化の中心道場という役割を担うことになった。ここで安永氏が提案したのがGINZAサロンの構想だった。毎週土曜日に教壇に立つグロービス経営大学院の講義で、最後の5分に仏教の話をすると学生たちに好評で、確かな手応えを感じたことがきっかけとなった。

「この会員組織はCRM(顧客関係管理)の意味もあります。コールセンターを設けてデータ管理して、ライフタイムイベントをずっとフォローしていきます。LIFE SHIFTという考え方が進む現在、エンディングだけでなく『この先をどう生きるか』が問われています。そのために、築地本願寺が提供できることを形にして届けていく。これが、他宗派でも他寺院でもモデルケースになればと思います。

実際、こういった構想をする僧侶は少なくありません。われわれは有難いことにプロジェクトを始動することができました。都市型寺院のモデルケースとして、この方法が仏教の新しいアプリケーションとして機能していくかどうか、見守っているところです」

寺離れが進むなら、仏教が時代に合わせればいい

仏教には2500年の歴史があるといわれているが、時代に合わせて伝え方や人々へのかかわり方を変化させてきた。その時代に適応したアプリケーションがその都度考え出され、今に続いている。寺離れが進んでいるといわれて久しい現在だが、そうであるならば仏教が現代人のライフスタイルに合わせていけばいいのだ。

「私は外から来た経営者なので、外部の人間ならではの『こういうサービスがあったらお寺に行くよね』という視点を盛り込んでいます。ビジネスパーソンが悩んだときに、お寺に相談に来るようになり、心を落ち着けられたなら、仏教は実用的なアプリケーションだといえるでしょう。そのためにも、GINZAサロンや築地本願寺を気軽に活用していただきたい」

信仰のあり方は自由であり、どの宗教とも、どの寺院とも縁を結ぶ必要があるわけではない。しかし2500年もの間、人々の心の拠り所として機能していた仏教は、今でもその機能を失ったわけではないのである。

島田 ゆかり ライター

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しまだゆかり / yukari shimada

月刊誌・企業広報誌などの編集を経て、フリーランスのライターに。寺社好きが高じ、お寺業界の様々なトレンド、裏事情などを取材、発信。ほか、女性のライフスタイルなどの企画・編集・執筆も手がける。

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