そしてもう1点、遅刻はしない。これは当然のことでしょう。先ほども言ったとおり、栄光は「授業主体」です。授業に遅刻するということは学校生活の根幹を否定されることになってしまいますし、ほかの生徒の勉強の妨げにもなります。学力だけではなく、生活面での規律も身に付けてほしい。だからトイレ掃除も生徒たちの手でします。私立の中には掃除自体がないというところもあるみたいですが、授業料は“授業”や“設備”などの生徒の学習環境の充実に使われるべきです。掃除に充てられるものではありません。
こうした生活面での規律は、社会に出て、学力以前に“当たり前”に要求される能力なので、遅刻に対しては厳しく指導しています。まず2~3回遅刻したら、担任早朝登校面談があります。4回で生徒指導部長面談、8回目で校長の私自らが面談をします。ですから、生徒たちはあの山道を必死に上ってきます。足腰が鍛えられますね(笑)。
遅刻をすると校長直々に「喝!」
――かなりハードな山道でした。私も取材に遅刻してしまいそうで(笑)それにしても校長直々に遅刻の指導、怖いですね……。
仕方ないですね(笑)。でも別に怒鳴ったりしませんよ。まずは直球で、「あなたは、栄光に来て勉強する気はありますか?」と聞くだけです。
――特に12歳から18歳という人格形成に大切な期間をどう見ていますか。
中高の6年間は子供が成長していくとともに、親は子離れをしなければならない期間。それも中1の時点では100%子供にべったりしていたのが、高3にはほとんど0%にまでしなければいけない。非常に難しい期間です。親にとっても初めての出来事ですから、しばしば親子の対立が先鋭化することがあります。特に深刻なのが、進路問題です。時として、親として“進ませたい”方向と子供が“進みたい”方向が、真っ向から食い違うときがあります。そういうとき、学校は迷わず子供の味方に立ちます。