「安部公房とわたし」の真実

女優・山口果林に聞く大作家の実像

(プロフィール)やまぐち・かりん●1947年、東京生まれ。お茶の水女子大学附属中学校・高校を経て桐朋学園大学演劇科卒業。1970年、『若者の旗』でデビュー。NHK朝の連続テレビ小説『繭子ひとり』でヒロイン役を務める。俳優座、安部公房スタジオを中心とする舞台、映画、ドラマ等に多数出演。

――お二人の生活の中から生まれたエピソードが、著作の中に数多くちりばめられていることも明かされています。

そうですね、『箱男』と『方舟さくら丸』、『密会』とか。

――山口さんも安部作品にかなりの影響を与えたことになります。

と思います。ただ私の存在がなくても、作品として自立していますから。

――書いたばかりの原稿を読むこともありましたか。

それはありました。でも、何パターンも書いてくるんです。「もういい、本になってから読む!」と言ったことがあります(笑)。

――200枚もの原稿を反故にするという話にしても、こだわりが感じられますね。

それくらいまで書かないと、冒頭が間違っていたかわからないらしいんです。だからワープロになって本当に良かったって言っていましたね。原稿用紙のときは本当に大変だったと思います。

NEC「文豪」の由来

――「モノ好き」な安部さんですから、ワープロの導入も早かった。

だそうですよね。NECのワープロ『文豪』は、安部公房が使うということでその名前がついたと聞いています。まだ縦型だった製品を試作品、モニターのような形で手に入れていました。何年かたってノート型のワープロもいただいていましたね。実際におカネを払ったかどうかは知りません(笑)。

――山口さんはミノルタ製のワープロを使っていた。

ノート型をもらったのなら古いのを譲ってくれてもよさそうなものをね(笑)。黒い画面に白い文字のワープロは目が疲れるかなと思って、量販店で買いました。

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