シャングリラ東京を浮上させた、主婦活用 キモは、”ライトピープル”の集め方?

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陳列にも気を遣っています。ビュッフェのカウンターではスクランブルエッグがドンっと置いてあるのではなくて、たとえばキッシュとか、ちょっと小さくて手の込んだもので、ご自宅ではなかなか作らないようなものを置いています。

――日本人の女性客に受けそうな改善ですね。

確かに、朝食に関しては日本人の女性のお客様の満足度が高くなりましたね。社内で測定している満足度のスコアが2倍くらいになりました。

おもてなし精神にはどこか日本の旅館のノリがある。ベッドメイキングでは夕方、ホテルのベッドの上のカバーを外して、客がすぐに寝やすくするための「ナイトメーク」と呼ばれるサービスがある。どの高級ホテルでもしているものだが、シャングリ・ラ東京では、掛け布団の端をちょっと折っておくなど細やかな気配りが効いている。ナイトメークをしているのは、短時間勤務の主婦だという。
プレミアルームの浴室。窓からマンダリンオリエンタルの入る三井タワーも目に入る

――ナイトメークにも一工夫されているそうですね。

ナイトメークにほんのひとつ手が入るだけでも、「あ、こういう風に手をかけているんだな」とお客様に思っていただけます。通常、多くのホテル会社ではこの仕事は契約会社に頼んでいます。私どもも、部屋の掃除に関しては契約会社に外注していますが、今まではナイトメークもそうだったのを、直接雇用に変えました。

――どういったお考えでそうされたのですか。

発端は、私が日本で山登りをしたときに気づいたことです。

昨年の8月に富士山に登ったのですが、その前に日本人男性と高尾山に何回か練習に行きました。下山しているときに小さな町を通ったのですが、すごくきれいだったんですね。「なんでここの町はこんなにきれいなのか」と私が聞いたら、その日本人男性が「近所の奥様たちが外の道もきれいにはいているからだ」と教えてくれたのです。

主婦の方々は常日頃から、自宅をきれいにしていらっしゃる。だから戸外の小さなほこりも見逃さないのだとわかって、主婦の方をナイトメークのために雇おうと決めました。主婦の皆さんはフルタイムでなく、1日何時間かしか働けない。また、ちょうど時間帯もナイトメイクにマッチしていたのです。主婦の採用に切り替えてから、当ホテルでの宿泊経験全体の満足度スコアが大きく上がりました。

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