――小さな細かいことの積み重ねで、ホテル全体の満足度が上がるんですね。
私はその一つひとつのステップを見ています。
ホテルでよくあることですが、同部署内でうまく意思疎通していても、他部署とはあまりコミュニケーションをとらないため、問題になることがあります。そこで、できるだけ異なる部署の社員同士がいろいろなコミュニケーションをとりやすくなるように、年に1回、全社員で「シャン・アドベンチャー」という研修旅行に行きます。今年で2回目になりますが、1日に全員はできないので、チームごとに何日かに分けて行っています。
――シャン・アドベンチャーですか。どういった内容なのですか。
いろいろな部署のスタッフを集めてひとつのチームを作って、1日中、大縄跳びを跳ぶとか、ゲームなどいろいろなアクティビティをします。チームビルディングの一環です。
――古き良き時代の日本の会社みたいですね。それもシャングリ・ラDNAですか?
私はシャングリ・ラに入って12年になりますが、どこのシャングリ・ラでも、こういう取り組みを行なっていますね。ヨーロッパなどに行きますと、少し変わってきますが、創業地域の香港や中国では、東京よりもっと力が入っていますよ。
転々としたキャリアが落ち着いた理由
――総支配人のキャリアの中で、ひとつの会社に12年間は最長ではないですか。
ええ、いちばん長いですね。以前はいろいろなホテルを渡り歩いていて、あるホテルでは「迷子の赤ん坊のようだ」と言われたこともあります(笑)。シャングリ・ラに入って、オーナーの考え方や当社の哲学、コア・バリューといったものがすごく自分にしっくりくるので、やっと自分の居場所を見つけられた感じがします。
――インターコンチネンタルとかヒルトンとか、国際ホテル資本をキャリアの中でご経験されていますが、シャングリ・ラとの違いはありましたか。
われわれシャングリ・ラは現在、82ぐらいのホテルを運営しています。これからもどんどん建っていくのですが、まだそれほど大規模ではありません。1000以上のホテルを抱えるような大きなホテルグループだと、各ホテルが「型抜きクッキー」(金太郎飴)のようにどこも一緒になってしまうこともあるでしょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら