移住人気ナンバーワン「糸島」が抱える問題

古民家学生寮プロジェクトが果たす役割

内覧会には多くの学生が集まった

――空き家を再活用することでどんなことが課題になりましたか?

空き家を再活用するには、難しい問題がいろいろあります。その1つが「市街化調整区域(以下調整区域)」の問題です。調整区域とは読んで字のごとく、市街化を抑制するべく定義された区域です。この区域で新築・増築及び用途変更することは、原則認められていません。もともと、高度成長期の無計画な開発を制限するための法律でしたが、この規制により空き家や古民家の用途変更による再活用が進まないだけでなく、地域コミュニティの維持に支障が出ています。調整区域は日本国土の約10%を占めています。無計画な開発は阻止しなければなりませんが、住宅の再活用という視点では足かせとなる規制と言っても過言ではありません。

そんな中、昨年12月に国土交通省が地方行政に対し、空き家や古民家の活用を促すための通達を出したのです。ただ、地方行政の現場では、弾力的な運用がなかなか進みにくいところもあります。今回の古民家も調整区域の範囲にありましたので、福岡県と糸島市の理解を得るために何度も役所に足を運び、用途変更の弾力的運用を認めてもらうことができました。福岡県内では第一号の事例になります。これが良いモデルケースとなり、調整区域における古民家活用に弾みがつくといいなと思います。

「地域にひらかれた学生寮」がもたらす価値とは

――最近流行のシェアハウスではなく、なぜ今「学生寮」なんでしょうか?

昔の学生寮の魅力は、家賃の安さ、通いやすさが最大のメリットでした。学生同士で熱い議論をするなど、寮の中でのコミュニケーションはありましたが、あくまで寮の中だけでクローズしていました。今回の学生寮は、「地域にひらかれた学生寮」として、交流を大事にしたいと思っています。

次ページ「地域」と「社会」の体験の場として
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