移住人気ナンバーワン「糸島」が抱える問題

古民家学生寮プロジェクトが果たす役割

また、糸島でとれる新鮮な野菜や鮮魚を販売し日本一の売り上げを誇る産直市場「伊都菜彩(いとさいさい)」をはじめ、糸島には産直市場が多いです。そんな糸島の食の豊かさも、糸島の観光と移住を促進している理由でもありますね。

――糸島は「田舎暮らし」のスローな空気感だけでなく、おしゃれなエリアとしても若者に人気ですね。

九州熱風法人よかごつ代表大堂さん

海岸沿いにある「糸島ロンドンバスカフェ」や「ヤシの木」など、思わずInstagramに投稿したくなるようなフォトジェニックでおしゃれなスポットが、若者を中心に糸島人気を加速させました。それに加えて、アートという切り口でも糸島は注目を集めています。糸島に移住して活躍しているデザイナーやアーティストは多いですが、さらに発展的な形として地域全体をアートの切り口で盛り上げるために「糸島国際芸術祭」も開催されています。

糸島ブームの裏にある住宅問題

――観光、移住の両面で成功事例とも言える糸島。そんな糸島で、なぜ今、学生寮が必要なのでしょうか。

この記事はDiGJAPAN!(運営:昭文社)の提供記事です

九州大学(以下、九大)が移転してくるからです。九大は、福岡市東区にある箱崎キャンパスから糸島に隣接する伊都キャンパスへ大規模な移転を進行中で、2018年には完全移転になります。2018年秋には、約1万6000人の九大生が伊都キャンパスにやってくるのですが、九大生の約7割が一人暮らしと言われているので、約1万1000人の住戸が糸島市や福岡市西区周辺に必要になるわけです。ところが、キャンパス近隣の賃貸ワンルームタイプの住戸は約7000戸程度。学生の他、職員や講師など関係者の分も考えると、かなりの数の住戸が不足していて、家賃も高騰気味。学生の生活費をかなり圧迫することになってしまいます。

建設が進む九州大学伊都キャンパス

一方、糸島市では高齢化が進んでいて、空き家が増えつつあります。空き家の一部は、カフェや移住者向け住居などに活用されていますが、まだまだ空き家のまま残っています。それで、九大移転による住戸不足対策として空き家を学生の住まいとして活用したい、と考えたのです。空き家の多くは普通の住居ですから、リフォームするにしても住居のまま活用するのがもっともシンプルな再活用だと思います。

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