移住人気ナンバーワン「糸島」が抱える問題

古民家学生寮プロジェクトが果たす役割

実は私自身が九大出身で、学生時代は寮で暮らしていました。その寮は現在なくなってしまいましたが、その寮で仲間と寝食を共にし、夢を語ったり、悩みを相談したり、寮でしか得られない貴重な経験をしました。それで、いつかは自分も学生寮で若者育成をやりたいと、想いを温めていました。今回、九大移転の住戸不足を知り、また、糸島に無味乾燥なワンルームマンションが乱立していくのを見て、「これではいかん!」と空き家を活用した学生寮の夢を実現することにしたのです。

地域住民と移住者の交流を増やしたい

――これまでは田舎暮らしのための移住の地であった糸島が、九大移転で雰囲気が変わりますね。

はい、これまでの糸島への移住者は、アートや田舎暮らしを好む社会人を中心にじわじわと増加してきたわけですが、2018年の九大移転に向けて一気に若い人口が増えることになります。これを機に、糸島生まれの地域住民と新しい住民たちの交流を増やしたいですね。

なぜかと言うと、実は移住者と元々の地域住民の交流はさほど多くないのです。おしゃれカフェが増え、糸島が人気になるのはいいことですが、週末は渋滞が起こるなどして、地域住民としては必ずしもうれしいことばかりではありません。また、地域住民がそれらを頻繁に利用したり、生活がうるおっているわけでもありません。そんな現状を知り、地域住民と移住者の間にもっと交流を増やすにはどうしたらよいか?と考えるようになりました。

九州大学伊都キャンパスへ向かう道はのどかな田園風景が広がる

もともと、糸島は自然豊かな場所。糸島ブームが来る前からずっと、地元の農家さんや漁師の方達は誇りをもって「よかろう?」「うまかろう?」と思ってここで暮らして来たわけです。そんな地域住民の方たちと話をしていると、糸島の昔ながらの暮らしの温かさに改めて気づかされることが多いのです。しかしながら、よくよく話を聞いてみると、地域の祭りの運営や草むしりなどの担い手が減少していて、そうした昔ながらの糸島の暮らしを継続していくことが難しくなってきている現状もわかりました。

地域の人手不足を補うといっても、糸島から福岡市に通勤している移住者が手伝うには時間的に厳しいものがあります。ですが、学生であれば若さと元気がありますし、比較的時間にも余裕があります。学生と農家や地元事業者をマッチングすれば、学生にとっては住まいの周辺でアルバイト先を確保することもできます。

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