移住人気ナンバーワン「糸島」が抱える問題

古民家学生寮プロジェクトが果たす役割

33歳で約10年勤めた商社を辞め、1年ほど東京のNPO法人で寮運営を学び、移住の準備を進めました。もともと、40歳には独立する目標持っていましたので少し予定が早まっただけ、という感覚です。

学生寮を起業家育成のベースキャンプにする

――古民家学生寮で今後取り組みたい計画はありますか?

学生寮では起業家を招いた勉強会や、地元企業との交流イベントを積極的に行います。起業したい学生や、進路を考える学生にできるだけ多くのヒントを得てほしいのです。寮を出た卒業生が一旦東京で就職したとしても、その後結婚や育児などのタイミングでUターンし、糸島で働きやすくするための取組みも進めようと考えています。

また、古民家学生寮ではAIやIoTなど、最新のテクノロジーも積極的に活用しようと思っています。もともと、学生寮の運営は家賃、共益費などの収益管理から食材や消耗品の補充など、人の手間がかかることが多いです。寮運営に必要な雑用やコストをITの活用で軽減し、人間は交流イベントの運営などに注力したいと考えています。寮の学生にも参加してもらい、古民家をITや最新テクノロジー活用のラボのように使ってもらいたいですね。そして、ビジネスアイデアで社会課題を解決する起業家を輩出するベースキャンプにしたい、と思っています。

糸島で古民家の学生寮が1つ増えることは、単なる点にすぎません。今後5年以内に10~30名規模の寮を5~10軒まで増やし、拠点間のネットワークを作ろうと考えています。また、九大の大学生の9人に1人が留学生。その留学生や英語を話したい日本人学生をガイドとして活用し、訪日インバウンドの観光客向けに体験ツアーも計画中です。

地域にひらかれた学生寮を起点として、社会に出てイキイキと活躍できる若者があふれる社会をつくりたい。それが、「九州熱風法人よかごつ」のミッションです。9月1日の古民家学生寮のオープンは最初の一歩。これから糸島、福岡、九州全体を「地域活性×教育」でどんどん盛り上げていきたいです。

取材後記

7月のある日曜日、糸島の真っ青な空の下、田んぼに囲まれた今回の古民家を訪れました。太い柱、広い居間のある堂々とした造りは、まるで田舎のおばあちゃんの家のような包容力で来る人を迎え入れてくれます。

この夏、古民家では9月1日オープンに向けてリフォームが進んでいますが、リフォームには多くの九大生が参加しています。棟梁との打ち合わせ、古い家財道具の運び出し、寮の名前を決めるのも全て学生達という徹底ぶり。自分たちの学生寮は自分たちの手でつくる、という貴重な体験を通じて、「地域にひらかれた学生寮」は既に学びの場としてスタートしています。この学生寮が糸島でどんな期待を担っていくのか、今後の展開がとても楽しみです。

(取材日:2017年7月2日)

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